大きなプロジェクトを進めるに当たり、周りの状況が変わったならば、立ち止まって再考するのも大切なことではないか。

 仙台市議選の立候補者を対象に、河北新報社はアンケートを行い、仙台市と宮城県がそれぞれ市内に整備を検討する音楽ホール構想について考えを聞いた。

 最も多かったのは「県と市が規模や機能を調整した上で、仙台市内に二つ整備すべきだ」で、回答した68人のうち38人(55.9%)に上った。両ホールには類似点が多いのにもかかわらず、県と市による機能分担の議論は不十分と捉えている。

 現行計画である「県、市ともに2000席規模のホールを整備すべきだ」は5人(7.4%)にすぎなかった。その他の回答を見ても、両者が並行して進めることに否定的な意見が目立つ。適正規模や特性を含め、柔軟に見直す時期に来ているのではないか。

 音楽ホール構想は、市が2000席の施設を計画したことに始まる。クラシックを中心としつつ、ポップスや演劇もできる多機能型とした。

 県は、新しい県民会館としてミュージカル、演劇など2000席のホールを検討する。双方とも多機能としたことから需要を食い合う弊害が指摘されている。

 国内外から公演を誘致する興行主は、仙台で2000席の施設二つは多いと言う。「満席になれば興行収入が見込める。1人当たりのチケット代が安くなる利点はあるが、現実には1000席埋まらないステージも多い」

 クラシック演奏会を主催する音楽関係者は、市の構想に注文を付ける。「多機能型にしてから中途半端となった。オーケストラを主とする音楽専用ホールに戻し、1500席あれば十分。若い後継者を育て、ファン層を広げるためにも目的を明確にすべきだ」

 立候補者アンケートでは、回答欄に「市内に一つでいい」と特記する人も多かった。市と県が共同で1カ所に本格的な施設を建設する考え方とみられる。

 音楽関係者の間では、このプランを望む声が多い。別々に活動している市と県の芸術文化団体を同じ建物に入れ、若手向けの研修や指導者の派遣を協力して行う。芸術の殿堂、一大拠点となり得る。

 アンケートでは、4人が「県は市外に整備を」と答えた。地方行政に詳しい学識者は同じ意見を持つ。震災復興の観点から「一つは沿岸部に造るのが望ましい。県には全体を見渡す広域調整の役割がある。仙台一極集中を避け、生活再建途上の地域に文化の拠点があってもいい」と話す。

 このテーマに関心が高まるにつれ、議論の幅も広がってきた。急いで結論を出すこともないだろう。人口減少など社会構造の変化、財政状況、音楽需要を正確につかみ、最善の道に近づけてほしい。