新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の拡大で経済への悪影響が深刻になってきた。流行を最小限に抑える一方、とりわけ打撃の大きい地方の中小零細の事業者に対し、手厚い支援を速やかに実施してもらいたい。

 新型肺炎の観光業界への影響を懸念し、宮城県は宿泊税の導入を見送る方針を表明し議会が承認した。昨年10月の消費税増税による客足の鈍化に加えて、新型肺炎の拡大による観光客の急激な減少が明らかになっている。

 こうした中での宿泊税の導入は、地域経済に一定の重い負担を強いることになる。宿泊税はいったん白紙撤回した上で、地域の景況を慎重に見極めながら、導入の是非を関係業界も交えて検討し直すべきだろう。

 国内経済を見ると、新型肺炎の悪影響は深刻さを増している。

 日本旅館協会(東京)の集計によると、回答したほぼ全施設で予約が落ち込み、3~5月の予約者数は前年同期より4割も減少した。調査は先月25日までの状況であり、これ以降、予約はさらに減少しているとみられる。

 国内の航空各社は、中国路線の減便や運休などの影響で2~4月に業界全体で1千億円の減収を見込んでいる。また、旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が業績予想を下方修正するなど、感染拡大による影響はすでに多方面に及んでいる。

 もっとも、新型肺炎の影響以前に、消費税増税による消費の大幅な減退が、国内経済の腰折れを招いた事実は忘れてはならない。増税による不況に陥った途端に、新型肺炎の流入というダブルパンチを被ったのが実態だ。

 内閣府がきのう発表した2月の消費動向調査によると、向こう半年間の消費者心理を示す消費者態度指数は、前月より0.7ポイント減の38.4に低下した。基調判断を「足踏みがみられる」と下方修正したが、実体経済は「足踏み」どころではあるまい。

 ただし、感染症の大規模な流行によって経済が長期的な不況に転落した例は、過去にはないともいわれる。流行の終息とともに、消費が回復するのが通常である。増税の影響はなお懸念材料だが、現段階では流行の終息までをどう乗り切るかが問われる。

 旅行や宿泊のキャンセルや自粛、イベントなど催事の縮小や延期、小売店や飲食店などの客足の急減など、サービス業全体の消費の落ち込みが著しい。中国の生産の停滞によって、各地の産業への影響も大きくなっている。

 感染の拡大を抑え込むのが今のところ最大の経済対策であり、政府はそれに全力を尽くしてもらいたい。同時に、自治体や民間金融機関も交えて、各事業者に対する細やかな支援を急ぎ、地域経済への打撃を最小限に食い止めるよう努めてほしい。