「原発マネー」を巡る闇の一端が明るみになった。利用者の電気料金を基にしたカネが「特別な配慮」で特定企業に流れ、関西電力の幹部に環流していた。公益企業として背信行為に等しい。

 関電の幹部らが、関電高浜原発の立地する福井県高浜町の元助役(故人)から多額の金品を受領した問題で、調査していた第三者委員会が最終報告書を公表した。

 金品を受け取ったのは、社内調査を基に関電が公表した20人から、55人も上回って75人に上る。現金や金貨、商品券などの金品も約4000万円増え、総額3億6000万円相当に拡大した。

 関電の役員らは元助役から金品を受け取り、元助役の求めに応じて原発関連の工事を特定の企業に発注するなどしていた。第三者委は関電による元助役への便宜供与だと認定した。

 一方、元助役は受注した企業から多額の顧問料などを得ていた。そうした不適切な関係は1987年から30年以上にもわたる。原発マネーに絡むゆがんだ構図の根深さがうかがえる。

 関電が昨秋開示した社内調査報告書では、関電は便宜供与を否定し、元助役による金品提供は「権威の誇示」「礼儀の実践」が目的で、「発注プロセスと金額は適正だった」と説明していた。

 関電の主張が根本から覆された格好で、社内調査も身内への甘さを露呈した。関電は自らが被害者であるかのような言い分だったが、元助役と「共犯関係」だったとみなされても仕方あるまい。

 問題発覚の契機は、原発工事を受注した高浜町の建設会社に対する金沢国税局の税務調査だった。今回の最終報告書では、金品受領を所得とみなされ、修正申告した役員らの税負担分を関電が穴埋めしていた事実も判明した。

 元検事総長で第三者委の但木敬一委員長が、関電の企業体質について「電気料金を負担するユーザーの目線が全くない」と厳しく批判したのもうなずけよう。

 関電は2018年の社内調査結果を、報道で問題が公になる昨年秋まで公表せず、放置していた。そもそも、30年以上も原発立地の地元と癒着していた事実は、ガバナンス(企業統治)とコンプライアンス(法令順守)の観点から重大で深刻な問題が組織にはあると見るべきだろう。

 関電は第三者委の最終報告に合わせ、社長の交代を発表したが、これで幕引きとはならない。第三者委は調査期間の制約などから、原発マネーの闇を全容解明できたわけではない。役員らの責任追及もこれからの課題だ。

 経済産業省は関電に電気事業法に基づく業務改善命令を出し、経営体制を抜本的に見直すよう求めた。関電は内部にはびこるウミを出し切り、企業体質を一新できるかどうかが問われることになる。