4月の進学や就職、転勤を控え、新しい住まいを探している人が多いのではないだろうか。生活環境が大きく変わる機会だからこそ、部屋選びや家具の配置に防災の視点を加え、新生活に生かしたい。

 まずは立地。暮らそうとしている地域の自然災害のリスクは、自治体が作成した洪水や津波、土砂災害のハザードマップで調べられる。

 洪水は大雨で河川が増水して堤防を越えたケースを、津波は最大規模の危険度や被害をそれぞれ想定し、地図に浸水の範囲と深さ、早期の立ち退きが必要な区域や避難場所、避難経路を表示している。

 山や崖の近くの場合は、土石流、地滑り、崖崩れが心配される土砂災害危険箇所のほか、住民や建物の危険に応じた土砂災害警戒区域(イエローゾーン)、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)も確認したい。

 一方で東日本大震災では想定していた浸水域外も津波被害を受けた。ハザードマップは万能ではないことも頭に入れつつ、現状で考えられるリスクを回避しておこう。

 建物は建築時期で耐震基準が異なるため、築年数の確認が重要になる。1978年の宮城県沖地震を受けて国は81年に建築基準法を改正し、耐震性を強化。2000年には筋交いの固定方法を具体的に規定するなど、さらに厳格化した。

 16年の熊本地震では、建築年代によって被害に差が出た。国などの調査によると震度7に襲われた熊本県益城町中心部の木造家屋の大破・倒壊率は、基準法改正前に建てられた住宅が45.7%、改正後18.4%、00年以降は6%だった。

 古い建物の場合は耐震化工事や、耐震性を低下させる恐れがあるシロアリ被害の有無を点検し、少しでも揺れに強い建物を選んでほしい。

 部屋が決まったら、室内の安全確保を。阪神大震災は多くの人が寝ていた明け方に発生した。タンスや本棚は寝床に倒れない場所に置くか、転倒防止措置を講じたり、背の低いタイプにするなどの工夫をすべきだ。落ちると凶器になりかねない家電にも対策が求められる。

 速やかな避難には、動線の確保が欠かせない。出入り口付近に倒れやすいものは置かず、食器棚に飛び出し防止器具、窓ガラスに飛散防止シートを施したい。落下物を踏んで足にけがをしないように、枕元にはスリッパの用意がお勧めだ。

 引っ越し後、地域住民と顔の見える関係を築けば安心感は増す。各地の自然災害を受けて、災害対応に取り組む町内会は多い。ただし、被災時に新旧住民が互いに「この人誰?」では、避難誘導や救助作業がスムーズに運ばないだろう。まずは大家さんを見掛けたり、ごみ収集場所でご近所さんに会ったりした時に、あいさつから始めよう。