東京パラリンピック開幕まで半年を切った。新型コロナウイルスの感染拡大で延期の可能性があるが、大会を契機に障害者のスポーツ参加の取り組みをより進めるという大会の意義に変わりはない。

 スポーツ庁が2月に速報を発表した「障害者のスポーツ参加促進に関する調査研究」によると、成人障害者で「週1回以上、スポーツ・レクリエーションを実施した」という割合は25.3%。前回調査の2年前より4.5ポイント増えたが、一般成人の同種調査では53.6%で、半分以下だ。

 2018年に日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)などが行った調査では、18歳以上の障害者のパラリンピックへの関心は36.2%にとどまる。

 大会開催が「障害者の代表であるアスリートの奮闘で、障害者全体を勇気付ける」と一般的には思われている。しかし、競技性が認知され、選手が「障害者」としてではなくメダルを目指す「アスリート」になることは、一般の障害者からは「かけ離れた存在となってしまう」とする逆説的な見解もある。構図は単純ではない。

 では、障害者のスポーツ参加に必要な取り組みは何か。多くの関係者は一般、障害者双方に向けた「教育」の重要性を挙げる。

 例えば、障害児が一般の学校に通学した場合、部位や程度にもよるが、体育の授業が見学となってしまえば、体験の機会を得られない。参加してもうまくできず、周囲の子どもにやゆされるなどして、トラウマ(心的外傷)を負うこともあるという。

 特別支援学校には、約6割でクラブ活動があるというが、指導教職員の熱意に頼る側面も大きい。

 中途障害者を考えた場合、障害のリハビリからスポーツにつなげるような仕組みも、一層の整備が求められる。

 パラリンピックでは、学校向けに五輪を上回る約68万枚のチケットが販売されている。子どもたちが、障害を乗り越えて競技する選手の姿を目の当たりにすることは意義がある。ただ、その感動は「共生」を自然に実感できる教育の裏付けが伴わなければ、一過性に終わりかねない。

 国際パラリンピック委員会公認の教育プログラムについて、日本パラリンピック委員会とパラサポなどによる事務局が日本語版教材を作成し、全国の学校に配布している。こうした教材の積極的な活用も有効だろう。

 競技団体の多くが抱える大会後の人的、資金的な不安への対応は欠かせず、障害者スポーツに取り組みやすい施設整備なども併せて進める必要がある。

 教職員やリハビリの担当者だけでなく、外部の指導員なども交え、障害者がスポーツの楽しさに触れ、続けられるような仕組みづくりが、それぞれの地域で求められる。