長引く新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の暮らしや経済、雇用をかつてない不安に陥れている。

 政府が近くまとめる緊急経済対策では、イベントの中止や外出の自粛要請によって、お手上げ状態にある観光、飲食業などの事業者を救う手だてが急がれよう。

 政府内では、「リーマン・ショック時を上回る過去最大規模」という声が上がる。規模ありきでなく、毎日の資金繰りに苦しむ人々に支援の手がいち早く、しかも確実に届くような制度づくりに心を砕いてもらいたい。

 経済対策の柱に、国民に配る現金給付がある。リーマン・ショックの後、定額給付金を出した例はあるが、貯金に回って使われないとされ、効果は疑問視されている。

 政府は、全国民に一律で配るのでなく、所得の減った世帯にターゲットを絞る考えだ。その方針に沿い、立場の弱い個人事業者などに手厚く行き渡るようにしてほしい。

 中小企業向けに新しい給付金制度を設けることも打ち出している。3月の経済対策では、利子分を国が補填(ほてん)して実質無利子・無担保で金融機関から借りられる融資制度を設けた。

 しかし、無利子とはいえ返済しなければならず、野党や業界から見直しを求められていた。遅きに失した感はあるものの、収入の激減した事業者に広く活用されるよう検討を進めてほしい。

 東日本大震災の時に注目された「雇用調整助成金」を一段と拡充する。運輸、外食、旅館業界などでは、従業員を一時的に休ませる企業が相次ぐ中、雇用主が支払う休業手当を助成する。

 通常の助成率は中小企業で3分の2、大企業で2分の1のところを、それぞれ最大で90%、75%に高めるという。 拡充することに異論はないが、利用者からは「事務申請手続きが煩雑。給付金を手にするまでに日数もかかる」という不満も聞かれる。

 資金の工面に駆け回っている多忙な個人事業主にとって、分かりやすく簡素化された制度にする必要があろう。

 全体の事業費は、国内総生産(GDP)の1割に当たる56兆円を超える見込みだ。総額102兆円の2020年度予算が成立したばかりで、追加の補正となる緊急対策には新たな財源が必要となる。

 政府・与党は赤字国債の発行を検討しているほか、新年度の予備費5000億円の活用を視野に入れる。

 予備費は大規模災害など緊急時に使われる。この夏に再び大型台風が襲来したらと考えると、不安は尽きない。

 平時の予算編成においては、財政的な余力を残しておくところを大盤振る舞いを続けたつけが回った格好だ。

 厳しい事情の下、コロナ対策を最優先にして取り組み、不急の事業は見直すことを改めて指摘しておく。