新型コロナウイルスの感染拡大対策を議論する政府の専門家会議は、流行の状況に応じて「感染拡大警戒地域」「感染確認地域」「感染未確認地域」の三つに区分し、対処する方針を打ち出した。

 区分別に集会やイベントの自粛など具体的な対策を示した。感染の分布や増加のスピードは自治体によって大きく異なる。学校の休校など一律の自粛要請に対し、反発や戸惑う声が上がっていただけに、自治体側は地域の実情に即した方策を検討しやすくなるだろう。

 感染者数が急増し、医療体制が崩壊の危機にさらされている都市部には「感染未確認地域」からマンパワーや医療機材を集中投入するなど、切迫度に応じた機動的な対応を期待したい。

 地域の区分は、原子力災害に見舞われた福島県内で出された避難指示を想起する。東京電力福島第1原発の爆発事故から住民の生命を守るため、国は汚染の度合いなどに応じて区域分けを行った上で避難指示を出し、段階的に解除した。

 生活再建に向け、地域が抱える課題は一様ではない。それぞれ喫緊の懸案に優先的に取り組み、復旧を進めてきた経緯を参考にしたい。

 今回のウイルスとの闘いは、感染の広がりに濃淡が明白になってきている。広域的な人の移動や大規模なイベントは自粛を継続すべきだが、学校での授業や催しをはじめ、特定の参加者による地域限定の活動は、個別判断の余地を残すべきだろう。

 三つの区分は直近1週間と前週の感染者数を比較し、都道府県が判断する。

 「感染拡大警戒地域」は、1週間の新規感染者や感染源不明者が前週より大幅に増加しているものの、オーバーシュート(爆発的感染者急増)ほどの状況に至っていない地域。

 求められる対応として(1)期間を明確にした外出自粛要請(2)10人以上が集まるイベントへの参加回避(3)家族以外の多人数での会食などの自粛-などを挙げた。

 「感染確認地域」は直近1週間の新規感染者などが前週と比べ一定程度の増加幅に収まっている地域。感染拡大のリスクの低い活動は認める一方、屋内で50人以上が集まるイベントへの参加は控えるよう求めた。

 直近1週間で感染者が確認されていない「感染未確認地域」では、屋外のスポーツやスポーツ観戦、文化・芸術施設の利用、参加者が特定されたイベントなどは予防対策を徹底した上で行えるとした。

 専門家会議が多人数の集まり回避を再三要請する背景には、医療体制がまん延の速度に追いつかなくなることへの強い危機感がある。都市部が総じて感染拡大警戒地域にならないよう、メリハリを付けた手だてを早急に講じるべきだ。