新型コロナウイルス感染症拡大を受け、「新しい生活様式」が提唱されている。世界的にも「ニューノーマル」として、日常生活から感染予防に努める取り組みが中心だが、これまでの生き方、暮らし方を見直すという観点も問われているのではないか。

 折しも最近あった二つのニュースは、それを考える材料になる。

 公正取引委員会がコンビニ各社による加盟店に対する24時間営業の強制が、独禁法違反に当たるとの見解を表明した。もう一つは、JR東日本、JR西日本が来春から都市部での終電を繰り上げる方針を明らかにしたことだ。

 市民生活の利便性を支えてきた存在が、限界を迎えたことを示す典型的な転換とみることができる。

 コンビニは現在、公共料金の支払い、現金自動預払機(ATM)の設置や、宅配の受け取りなど、その役割は単なる物販にとどまらない。24時間営業で防犯拠点、災害時のライフラインなどとしての期待もある。店舗数はこの10年で1.3倍に増えた。

 ただ、アルバイトなどの店員には、外国人留学生らの姿も目立つなど、人手不足が常態化している。コロナ禍で留学生が減り、働き手の確保が一段と厳しくなっている。

 公取委が行ったアンケートでは、加盟店オーナーの平均年間休日は21.3日と、月2日にも達しなかった。店舗数も飽和状態を迎えつつある。

 JRの場合、コロナ禍前には、訪日外国人旅行者(インバウンド)向けの新たなビジネスチャンスとして、ナイトタイムエコノミー(夜間の経済活動)の活性化がうたわれ、「公共交通の24時間運行」なども取り沙汰されていた。

 非常事態宣言などにより、テレワーク導入が進み、飲食店の深夜営業が自粛となるなどした結果、鉄道の利用状況は大きく変化している。JR東によると、特に終電近い時間の利用は以前の3分の1まで減った。

 人的な理由も大きい。運行には深夜時間帯を中心とする保守管理が欠かせないが、JR東の保守作業員は10年前より2割減り、この傾向は続く見込みだ。一方で工事はホームドア設置といった安全面などを含め、10年で1割程度増えており、今後も増加するという。

 「便利に暮らしたい」という人間の欲求に限りはない。企業などがそれに応えようとすることで、経済の活性化が進んできたのは確かだ。

 とはいえ、便利な生活の担い手となった人たちにしわ寄せが及ぶようないびつな形のままでは、いずれ限界は来る。

 コロナ禍で社会構造のいびつさがあぶり出された以上、放置はできまい。利便性を下支えしてきた人たちの負荷を軽くする生き方、暮らし方を考える必要があろう。それこそが「新しい生活様式」ではないだろうか。