石巻市大川小津波訴訟で亀山紘市長が上告方針を示した7日、原告の児童遺族は行政の判断を冷静に受け止めつつ、失望感と無念さをにじませた。「子どもの命に向き合ってほしい」。上告の可否が委ねられた8日の市議会臨時会を切実な思いで見守る。

 「未来の子どもの命を守る判決に対して何が不服で上告判断に至ったのか。疑問と憤りを感じる」
 大川小6年だった長男大輔君=当時(12)=を亡くした原告団長の今野浩行さん(56)は、報道各社の取材に率直な思いを語った。亀山市長が挙げた上告理由については「判決には東日本大震災を予見しろとも、専門家のような知識が必要だとも書かれていない」と疑義を呈した。
 6年の三男雄樹君=同(12)=を亡くした佐藤和隆さん(51)は「未来の子どもたちを守る礎となる画期的な判決だった。上告は残念というより悲しい」と嘆いた。
 3年の長女未捺(みな)さん=同(9)=が犠牲となった只野英昭さん(47)は南海トラフなどの大地震が懸念される中、「このままでは、また同じ悲劇が起きてしまう」と危機感を募らせ、こう訴えた。「判決文を読めば、何が問題で今後どうすべきか分かる。議員一人一人の良識ある判断をお願いしたい」
 6年の次女真衣さん=同(12)=を失った鈴木典行さん(53)は裁判には参加していないが、高裁判決の意義を高く評価する。「市側が裁判継続を理由にして学校防災が進まない状況ではいけない」と、審理の長期化を懸念した。
 2016年10月の一審判決後、市議会による控訴関連議案の採決は遺族約20人が見守った。
 「震災で亡くなった子どもの命、今生きている子どもの命、そして未来の子どもの命に真剣に向き合い、同じ悲劇を絶対繰り返さないという使命感を持って採決に臨んでほしい」
 今回も団長として採決を見守る予定の今野さんが、原告の思いを代弁した。