東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった石巻市大川小の児童23人の19遺族が市と宮城県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、学校幹部と市教委の組織的な過失を認めた仙台高裁判決を不服とし、市は7日、上告する方針を決めた。県は「市の判断を尊重する」として同調する見通し。上告期限は10日。

 亀山紘市長は報道各社の取材に答え「(判決の)予見可能という推認は科学的根拠を欠いている。科学的知見について、校長らが高度な知識を有する必要があるとの判断も無理があるのではないか」と判決内容に疑問を呈した。
 亀山市長は7日午前、市議会の丹野清議長と会い、上告提起の議案を提出するため、臨時会の招集を申し入れた。臨時会は8日午後に開かれる。丹野議長は取材に「(採決は)拮抗(きっこう)するのではないか」と述べた。
 村井嘉浩知事は7日の定例記者会見で「学校設置者である石巻市の意向を尊重したい。市、市議会の結論に従う」と述べ、足並みをそろえる考えを示した。県議会に対し9日に全員協議会を開くよう申し入れ、了承された。
 市の判断について、原告代理人の吉岡和弘弁護士は「仙台高裁は学校安全に万全を期すよう判示したのに、上告するのは遺憾。行政が児童の安全を軽視していることを全国に発信するのに等しい。市議会、県議会は上告を断念させるように尽力してほしい」と話した。 亀山市長は1日の取材に「上告するかしないか、どちらもリスクがある」と語り、大型連休明けに最終判断する意向を示していた。
 控訴審判決は、大川小の校舎が北上川堤防から西に約200メートルと近接することなどから「(当時想定されていた宮城県沖地震が起きた場合)津波で浸水する危険性はあったというべきで予見可能だった」と認定。
 大川小の危機管理マニュアルの不備を厳しく指摘するとともに、市教委は同校のマニュアル内容の確認、指導を怠ったとして組織的な過失があったと判断。市・県側に計約14億3610万円の賠償を命じた。
 大川小では児童74人と教職員10人が津波で死亡・行方不明になった。2016年10月の地裁判決は市・県に計約14億2660万円の賠償を命じ、遺族と市・県の双方が控訴した。