石巻市大川小津波訴訟の上告判断を審議した8日の市議会臨時会は、亀山紘市長の判断の経緯や上告の意義を問う質疑が相次いだ。「遺族の心情を考え上告断念を」「学校防災の充実のためにも上告すべきだ」。控訴関連議案を可決した2016年10月の臨時会から賛否を変えた議員もおり、苦悩の判断をうかがわせた。
 控訴に賛成し、今回は反対に転じた水沢冨士江議員は質疑と討論に立ち、「一審は教員の責任だけを問題としていたが、二審判決では学校管理者、市教委の落ち度が指摘された」と反対理由を語った。
 亀山市長の上告判断を巡り、同じ被告の立場の村井嘉浩知事とのやりとりの有無をただしたのに対し、亀山市長は「(上告の判断は)6日午後5時ごろに連絡した。知事とはほぼ毎日のように携帯電話で意見交換した」と明かした。
 上告に反対した高橋憲悦議員は一審段階に立ち返り、「大川小の事故が天災だったという認識に変わりはないのか」と質問。亀山市長は「大川小教職員らは当時、現場で精いっぱい児童のことを考えて行動していたことを踏まえた」と説明した。
 傍聴席には児童遺族の姿もあった。反対の立場で討論した森山行輝議員は「遺族の心情を鑑みれば、いつまでも裁判を続けるべきではない。上告ではなく、遺族と話し合うことが肝要だ」と強調した。
 賛成の立場からは2議員が討論に立った。阿部正春議員は控訴審判決の内容を批判。「未曽有の災害だった震災の混乱をあまりにも軽視している。再度、司法の判断を仰ぐべきだ」と主張した。
 山口荘一郎議員は「勝ち負けではなく、学校防災の充実強化につなぐという意義に着目すべきだ」と述べ、「二審判決は教委、学校といった組織が事前に策定する避難計画の重要性を確認した意味のある判決。今後の対策を広げるためには最高裁での判例が必要だ」と訴えた。

◎4人が今回反対に回る

 石巻市大川小津波訴訟の控訴審判決を巡り、上告関連議案を審議した8日の市議会臨時会の採決は賛成16、反対12と拮抗(きっこう)した。
 市議会の定数は30。1人が欠席し、議長を除く28人が採決に臨んだ。
 最大会派のニュー石巻(13人)は議員個々の判断とし、賛成5、反対8と割れた。石巻復興の会(6人)、創生会(5人)は会派拘束をかけなかったが、全員が賛成。公明会(3人)と共産党市議団(2人、1人欠席)はともに県議団と足並みをそろえて反対した。
 控訴を決めた2016年10月の市議会臨時会は賛成16、反対10。賛成議員は今回も同数だったが、控訴に賛成した議員のうち4人が反対に転じた。反対から賛成に回ったのは2人。前回採決に参加しなかった3人のうち2人が賛成し、過半数を得た。
 控訴審判決が出た4月26日以降、議員の判断は揺れた。賛成議員の中でも「最高裁で勝つのは厳しそうだ」との見方があった。判決文を精査したり市民の声を聞いたりして直前まで態度を決めかねた議員もいた。