東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった宮城県石巻市大川小の児童23人の19遺族が市と宮城県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟を巡り、村井嘉浩知事は9日の県議会全員協議会で「(学校側の事前防災の不備を認定した)仙台高裁判決は、津波の予見について学校現場に過大な義務を課している」と述べ、市と共に上告する考えを表明した。期限の10日に専決処分する。
 村井知事は全協で(1)一、二審の判決内容が全く異なる(2)学校から約700メートル離れた「バットの森」を避難場所とするのは現実的ではない(3)判例になれば、事前防災の大きな義務が教育現場に課される-を、上告を判断した理由に挙げた。
 石巻市議会で8日、上告提起の議案が可決されたことを踏まえ「市の判断を最大限尊重すべきだ」と重ねて表明。「遺族の気持ちは痛いほど分かるが、判例としていいのか、私には判断しかねる」と強調した。
 原告の児童遺族は、「子どもの命を守る高裁判決を高く評価している」(今野浩行原告団長)として上告しない方針。
 控訴審判決は大川小の校舎が北上川堤防から約200メートルと近接することなどから「津波で浸水する危険性はあったというべきで予見可能だった」と認定。
 同校の危機管理マニュアルの不備も指摘し、市教委はその内容の確認、指導を怠ったとして組織的な過失があったと判断。市・県側に計約14億3610万円の賠償を命じた。同校では児童74人と教職員10人が津波で死亡・行方不明になった。