東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった石巻市大川小の児童23人の19遺族が市と宮城県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟で、原告遺族は24日、事前防災の不備を認め約14億3610万円の賠償を命じた仙台高裁判決を不服として市と県が行った上告に対し、上告不受理と受理された場合の棄却決定を求める任意の答弁書を最高裁に提出した。

 答弁書で、学校に高度な「安全確保義務」を課した高裁判決の学校保健安全法を巡る解釈は「公教育の本質的義務を捉えた正当な判断だ」と強調。同法の規定は抽象的で、義務など具体的な規範が示されていないとする市と県の主張を「独自の解釈で、判決内容を正しく理解しておらず不適切」と批判した。

 校舎近くの北上川堤防が津波で損壊して浸水することを予見可能とし、学校から約700メートル離れた「バットの森」を津波避難場所として危機管理マニュアルに記すべきだったとした高裁の認定を非現実的とする市と県の主張は「事実認定を非難するだけの内容で、そもそも(事実認定は)上告審の審理対象ではない」と反論した。

 マニュアル改訂を怠った市教委と学校幹部の組織的過失の認定は「具体的な公務員の違法行為を立証しなくても、組織自体の過失を認めた判例に沿っている」と指摘。ハザードマップで予見可能性を判断した過去の津波訴訟は、地震発生直後の現場の過失が対象だったとし、「大川小のような平時(事前)の過失とは判断枠組みが異なり、比較は無意味だ」と主張した。

 仙台市内で記者会見した原告団長の今野浩行さん(56)は「高裁は通常の仕事をきちんとこなせば事故は防げたと、当たり前の認定をした。最高裁にも子どもの命に向き合う判断を望みたい」と語った。