最も安全なはずの学校にいたのに、なぜ、子どもたちは亡くなったのか-。長期連載「止まった刻(とき) 検証・大川小事故」を始めたのは、この命題に真正面から取り組むためだ。
 連載で紹介できたのは関係者の一部にすぎない。児童や教員の遺族、地域住民ら関係者の多くから取材を拒まれた。深い悲しみや怒りに満ちた瞳に繰り返し直面し、インターホンを押すのを何度もためらった。
 「そっとしておいてほしい」という声は今も根強い。無念のうちに亡くなった犠牲者を思い、足元で起きた悲劇から地元紙が目を背けてはいけない-と自らを鼓舞した。
 「賞に値する仕事だったか」「このテーマで受賞していいのか」。取材班には今も葛藤がある。ただ、受賞を機に大川小事故に改めて注目が集まれば幸いだ。多大な協力をいただいた関係者の皆さまに紙上を借りて深く感謝したい。