北海道では18年9月6日に激しい地震が起き、胆振(いぶり)東部で最大震度7が観測された。厚真(あつま)、むかわ、安平(あびら)3町を中心に大規模な土砂崩れや家屋倒壊が相次ぎ、計42人が死亡、751人が重軽傷を負った。
 道内は国内で初めてとなる全域停電「ブラックアウト」に陥り、札幌市では液状化被害が発生した。建物被害は全壊が460棟、半壊が1563棟。道内で最大768カ所に開設された避難所には一時、計1万6649人が身を寄せた。
 分厚い断熱材や二重サッシなどで保温性を高めた寒冷地仕様のプレハブ仮設を厚真に153戸、むかわに25戸、安平に30戸を建設。昨年11月に被災者が入居を始めた。農家の敷地には移動型のトレーラーハウスも計25台導入された。
 このほか、民間賃貸住宅のみなし仮設に170世帯、道営住宅には13世帯が暮らす。むかわでは鵡川(むかわ)高野球部寮が半壊したため、寮仕様の仮設が整備された。
 特別養護老人ホームと障害者施設が被災した厚真と安平には、全国初の「大型福祉仮設住宅」が完成。両町合わせて144人の受け入れが可能で今年1月以降、順次入居している。
 3町は19年度中に今後の再建策を盛り込んだ復興計画を策定する。厚真は災害公営住宅の整備を目指す方針。むかわ、安平は被災規模が災害公営住宅の設置基準を満たさず、町営住宅の供給などで対応する。

◎現地供給住民流出防ぐ 北海道政策調整担当課長 佐賀井祐一氏

 寒冷地仕様のプレハブ仮設住宅は、1993年に発生した北海道南西沖地震で408戸、2000年の有珠山噴火で733戸建設した経験がある。東日本大震災の被災地で寒さ対策の追加工事が相次いだ経験も踏まえ、今回はより気密性の高い設計を意識した。
 1戸当たりの建設コストは、災害救助法で定められた561万円の2倍を超える1200万円に上る見通しとなった。降雪前に着工を急ぐ必要があり、1期分として130戸を発注。2期分の78戸は3町の要望で合併前の旧町単位に小規模の仮設を分散配置したため、単価がかさんだ。
 国からは当初、札幌市などの民間賃貸住宅をみなし仮設として活用するよう指示された。膨らんだプレハブの建設単価に対し、最大300万円が支給される被災者生活再建支援金と合わせれば恒久住宅が建設できるとの意見も寄せられた。
 ただ、みなし仮設への入居で転出した町民が戻らなければ、復興計画に支障を来す。本格的な住宅整備には時間を要する。現地で質の高い仮設を供給することが欠かせないと判断した。
 厚真、安平両町には全国初となる大型福祉仮設住宅を導入した。被災した特別養護老人ホームなどに入所していた高齢者や障害者は町外に分散避難しており、一刻も早く帰町できる環境をつくらなければならなかった。前例がなく国は戸惑っていたが、道として災害弱者の命を守る一つの方向性を示せればと考えた。
 仮設の財源は国と道の折半を想定しているが、プレハブの2期分と福祉仮設、鵡川高野球部寮は協議が難航している。棟をつなぐ廊下部分や事務室は対象経費から外れる可能性が高い。
 今後は仮設の提供を終える2年後に向け、住まいの確保が課題になる。むかわ、安平両町は災害公営住宅の建設が難しく、既存の町営住宅は老朽化している。国には被災地の実情に合わせた救助法の弾力的な運用や支援策を求めたい。