東日本大震災に続き、2016年に熊本地震、18年に北海道地震が発生し、住まいを失った被災者が仮設住宅で窮屈な生活を送っている。北海道の寒さは厳しく、熊本では東北と同様に仮設暮らしが長引いている。両地震による建物被害と住まい再建の現状を報告するとともに、それぞれの被災地で復旧復興に携わる2人に課題や改善への取り組みなどを聞いた。
(「震災と住まい」取材班)

 熊本の被災地は2016年4月14日夜の前震と、同16日未明の本震の2回、震度7の激しい揺れに襲われた。同一地点で震度7を2度記録した地震は観測史上初めて。熊本県の18年12月現在のまとめによると、関連死を含め270人が犠牲となり、住宅4万3035棟が全半壊した。
 住宅被害に伴い、県内16市町村に計4303戸のプレハブ型仮設住宅が整備された。賃貸マンションなどの既存住宅を避難先として利用する「みなし仮設住宅」の利用も最大で約1万5000戸に上った。復興は少しずつ進んでいるが、18年末時点でなお約2万人が仮設に暮らす。
 被害が大きかった熊本県益城(ましき)町では、全住宅の半数以上に当たる6259棟が全半壊し、18年末時点で町民4000人以上が仮設で生活している。熊本市では全壊2456棟、半壊1万5219棟となり、みなし仮設を中心に約1万500人が仮住まいを続ける。
 県は住まいの再建に向け、19年度末までに計1717戸分の災害公営住宅を整備する予定。ただ、用地取得や建設工事の遅れもあり、19年1月31日現在で着工済みは全体の75%に当たる1294戸分にとどまる。
 県住宅課の担当者は「事業者と共に工期短縮の検討を進め、期限内の整備を目指したい」と話す。
 熊本地震では大分県でも住宅被害があり、10棟が全壊、222棟が半壊した。

◎みなし孤立支援届かず 熊本学園大社会福祉学部 高林秀明教授 

 熊本地震の被災地では、民間の賃貸住宅などを活用したみなし仮設住宅の入居者に対する支援が大きな課題となっている。入居戸数はプレハブ仮設の3倍の規模で推移してきた。被災者は孤立しがちで、生活再建を巡ってさまざまな問題に直面している。
 みなし仮設の入居者は主に都市部に点在する形で暮らしており、プレハブ仮設のように住民の自治組織がなく、行政などに声を上げにくい。ボランティアの支援もなかなか届かない。こうした課題は東日本大震災の被災地でも指摘され、熊本の被災自治体も対策に乗り出したはずだった。
 現状を見ると、みなし仮設を戸別訪問する人手は足りず、被災者と地域社会をつなげる施策も十分ではない。2018年12月までに仮設で26人の孤独死が確認され、うち23人はみなし仮設の入居者だった。
 健康面の問題も深刻だ。県による17年の調査で、みなし仮設入居者の約3割が体調について「あまり良くない」「悪い」と答えた。にもかかわらず、県は被災者向けの医療費などの免除措置を地震から約1年半で打ち切った。経済的な問題を理由に、病院での受診を控える傾向が強まることも懸念される。
 熊本県菊陽町で昨夏から、熊本学園大の学生と地域住民が一緒に仮設を訪ね、入居者から被災体験を聞き取っている。それまで外部に言えなかった悩みを打ち明けてくれた人もいた。被災者を地域コミュニティーに呼び込む取り組みはこれからも大切になる。
 災害救助法制の改善も必要だが、避難先や経済状況によって被災者が「選別」されないよう、医療や住宅に関する政策そのものを充実させる必要がある。
 現状の被災者支援は、短い期間で打ち切られがちだ。平時から低所得者を対象に公的な家賃補助制度を設けたり、医療費の減免措置を拡充したりすれば、被災後のスムーズな生活再建につながるだろう。