東京電力福島第1原発事故に伴う福島県浪江、富岡両町の避難指示が帰還困難区域を除き2017年3月31日と4月1日にそれぞれ解除されて2年が過ぎた。ともに居住率は1割ほどにとどまり、急速な人口減少に直面する。町は帰還への環境を整えながら、持続可能なまちづくりのため、新たな移住者の呼び込みを重視。若い世代の定着に向けた支援を打ち出している。

 「新たに住居を整備した人や、子育て世帯にも不安のない生活を送ってもらえるよう支援する」。3日にあった富岡町が開設した認定こども園の入園式で、宮本皓一町長は強調した。

 18年春に小中学校が町内で授業を開始。今回、未就学児の保育を担う施設がようやく再開し、一歩ずつ教育環境が整いつつある。

 町は解除に先行し、複合商業施設や診療所など最低限の生活インフラを整備。2次救急病院の開院などで帰還者は増えてきたが、解除区域(9224人)の新規転入者も含めた居住率は、1日現在で10.0%(922人)にとどまる。

 原発事故前に約1万6000だった登録人口は、転居などで1万2913に減少した。復興庁が18年夏に実施した町の住民意向調査では「戻らない」と答えた割合は48.1%に上り、避難先などで「既に生活基盤ができている」(60.4%)との理由が最も多かった。

 林紀夫総務課長は「帰町できる環境を充実させながら、移住者も呼び込んでまちづくりを推進する必要がある」と展望を描く。

 廃炉関連企業のほか、新たな産業集積で雇用を生み出そうと、町は産業団地の造成に着手。子育て世帯への奨励金制度を設け、交流人口を拡大するために合宿施設の改修も進める。

 町内には復興関連企業の従業員らが住む賃貸アパートが急増する一方、家族向けの物件は少ない。夫の通勤負担を減らそうと、いわき市から家族5人で中古住宅に移り住んだ南満子さん(32)は「多くは単身者向けで、子育て世帯が入居できる物件が足りない」と指摘する。

 住まいを確保するため、町は今月、民間の集合住宅を町営住宅として借り上げ、3DK24戸を移住希望の家族に貸し出す方針だ。町に人を引きつけるための環境づくりを急いでいる。

 浪江町も帰還促進や転入者の増加に向けた対策を模索する。解除済み区域(1万4535人)の居住率は、2月末時点で6.3%(910人)に低迷。実質的な帰還者は半数程度とみられる。双葉郡で最多だった登録人口は約2万1000から1万7526に減った。

 町内には現在、仮設の共同店舗しかない。多くの町民は約20キロ離れた南相馬市にまで買い物に行かざるを得なかったが、今夏、ようやく大手スーパーが出店する見通しとなった。

 「商業施設に加え、入院機能を持つ医療施設が必要だ」。町の安倍靖総務課長は課題を挙げ、「町の維持には自主財源の確保が大前提。帰還を諦めていない住民を誘導し、新規の転入者を増やす努力も重ねなければならない」と話す。

 避難指示を巡っては、17年3月末に飯舘村の帰還困難区域以外の区域と川俣町山木屋地区も解除され、再生への取り組みが続く。