21世紀末には1時間当たり50ミリ以上の豪雨が倍増する恐れがあり、猛烈な勢力の台風も今後増加する-。仙台管区気象台は地球温暖化による東北地方の気候変化について、こんな予測結果をまとめた。昨年10月の台風19号(東日本台風)級の大水害が再び起こりかねず、河川の専門家は氾濫を前提に備えるよう訴える。(治水のゆくえ取材班)

■既に影響か

 過去40年間に東北で記録した1時間50ミリ以上の「短時間強雨」の年間発生回数の推移は図1の通り。平均すると10年ごとに2.5回増加しており、気象台は「地球温暖化が既に影響している可能性がある」とみる。

 一般的に1時間30ミリ以上の雨が降ると中小の下水道管は許容量に達し、道路にあふれ出す。50ミリ以上になると雨しぶきで視界が悪くなり、車の運転が難しくなる。

 国連が想定するシナリオのうち、最も地球温暖化が進んだ場合に当てはめると、21世紀末の東北各県の気候は図2のようになる。全域で年平均気温が上昇し、最高気温が30度を上回る真夏日が約40日増える。短時間強雨の発生が現在から倍増し、今はまれな24時間100ミリ以上の豪雨が数年おきに発生する。

 空気は温度が上がると体積が大きくなり、より多くの水蒸気を含む。気温が上昇した将来気候下では一度に降る雨量が増える一方、雨が降る日は減るという。

■異例の現象

 台風については発生数が減るか変わらない可能性が高いが、海面水温の上昇で最大瞬間風速54メートル以上の「猛烈な台風」の発生頻度は上がると予測されている。

 前例のない勢力の台風は東北でも増加の兆しがある。観測史上初めて東北に直接上陸した16年8月の台風10号襲来時、高空と低空の温度差で積乱雲が爆発的に生じる「対流バースト」が三陸沖で発生したことが、気象庁気象研究所(茨城県つくば市)などの解析で判明した。

 衰退期だった台風が対流バーストによって勢力を維持し、岩手県岩泉町などで深刻な豪雨被害を招いた。同研究所の和田章義台風・災害気象研究部第1研究室長は「熱帯で起こりやすい現象で、日本近海での発生は異例。今後温暖化が進むと当たり前になる可能性がある」と指摘する。

 昨年の台風19号で東北の河川は甚大な氾濫被害に見舞われた。欧州では温暖化の将来予測を折り込んで河川を整備している国もあるが、東北大大学院の田中仁教授(水工学)は「緩流が大半の欧州と違い、急流で土砂の流入も多い日本の河川は事情が異なる。氾濫を前提に身を守る振る舞いを考えてほしい」と話す。

 気象台の解析結果は、台風19号など昨年の気象データを反映させてまとめられた。