女川町出身の絵本作家神田瑞季さん(23)=相模原市=が、東日本大震災で被災した町を明るい色で彩ろうと、アートプロジェクトを始めた。初回として11日、町に絵画を寄贈した。

 神田さんは「明るい色は気持ちを前向きにしてくれる。もっとすてきな町になるよう、たくさんの明るい色で町を彩りたい」と意気込む。寄贈した絵画は、タイトルが「幸せの樹」。縦50センチ、横61センチ。アクリル絵の具を使って仕上げた。巨木に、新しい生活を始めた住民の努力や頑張りという花が咲いた様子を表現した。

 震災の町の復興計画が本年度で最終年度となる。「町の復興が一区切り付く節目でもあり、贈ろうと思った」と説明する。

 須田善明町長は「贈られた絵には、震災直後に描いた絵とは異なった思いが込められているだろう。多くの人に見てもらいたい」と話した。絵画は町役場1階エントランスホールに飾られている。

 神田さんがプロジェクトを始めたのは、震災で祖父明夫さん=当時(78)=を亡くした影響が大きい。体の不自由な人を助けに向かい、津波に襲われたとみられる。「震災後はずっと何かをしたいと考えていたが、ずっと祖父を失った悲しさがあった。ただ絵を描くことでようやく人の役に立ちたいと思えるようになった」

 震災から8年。悲しみを抱えながらも、気持ちに踏ん切りを付け、前向きに活動を始めるようになった。プロジェクトは「COLOR LIFE PROJECT」と名付けた。現在は縦1.8メートル、横1メートルの絵を4枚組み合わせる「さくら」を制作途中で、この絵も町に贈りたいという。「作家にとって、絵を飾ってもらうこと自体、貴重なこと」と話しながら、「今後も古里に思いを寄せながら活動を続ける。絵を通じて、明るい色を町に届けたい」とほほ笑む。

 東北芸術工科大を昨春卒業し、絵本作家として相模原市を拠点に活動。将来的には女川で個展なども開催したい意向だ。神田さんは震災直後、町内のがれき置き場に、巨大画「再生」を描き、色彩が失われた町を彩ったことがある。