石巻市の石巻魚市場内に、皇太子妃雅子さまの母方の祖父が描いた絵画5枚が展示されている。東日本大震災で被災した魚市場を再建する際、雅子さまの母小和田優美子さんから提供を受けた。絵画の存在は知られておらず、来月1日の令和への改元後は、新皇后ゆかりの絵として注目を集めそうだ。

 雅子さまの祖父は元チッソ社長の江頭豊さん(1908~2006年)で、水俣病問題対応に尽力した人として知られる。優美子さんは江頭さんの長女に当たる。

 皇后美智子さまが江頭さんの米寿の祝いに贈られた花束を題材にした絵をはじめ、富士山、弥勒菩薩(みろくぼさつ)、踊り子、欧州の風景の5作品があり、花束と富士山は応接室、弥勒菩薩は会議室、残る2枚は事務所に飾られている。

 魚市場に贈られたきっかけは、須能邦雄社長(75)が専務だった約18年前にさかのぼる。須能社長は当時、雅子さまの父で外務省顧問だった小和田恒さんに魚市場50周年記念式典の講演を依頼した。須能社長と小和田さんの橋渡し役を務めたのは、三輪学苑を主宰した故飯田宗一郎さん。三輪学苑は生涯学習社会の実現を目指し、各種セミナーを企画していた。飯田さんは小和田さんとつながりがあり、同学苑に参加していた須能社長と接点が生まれた。

 須能社長は「東日本大震災の時、オランダ・ハーグで国際司法裁判所の所長だった小和田さんから安否などを気遣う電報が届いた」と振り返る。震災後も東京の出張の際に夕食会に招かれるなど交流は続いた。

 絵画の寄贈は2013年秋ごろ、優美子さんから提案された。須能社長は「魚市場の新築記念を兼ねたお祝いもあったと思う。自宅に招かれ、絵は自分の好きなのを選んだ」と語る。

 絵画は小和田家から郵送で須能社長の元に届き、石巻魚市場が現地再建された15年9月、新たなスタートを機に魚市場内で展示を始めた。

 20年秋には石巻市を会場に第40回全国豊かな海づくり大会みやぎ大会があり、新天皇、皇后両陛下の出席が予定されている。石巻魚市場でも式典行事が行われる計画で、須能社長は「雅子さまに、おじいさまの絵が魚市場に飾られていることをご報告できれば」と期待。両陛下の休憩場所が魚市場の応接室であることを熱望している。

 須能社長は「梅の里」として知られる水戸市出身。万葉集の梅にちなむ「令和」の元号に「大変喜ばしいことだ」と感想を述べている。