新作ドキュメンタリー映画「精神病院のない社会」(大熊一夫監督)を見て、これからの社会について考える集いが23日、石巻市北村の遊楽館であった。一般社団法人石巻グリーフサポートが主催した。

 上映に先立ち、仙台市立病院精神科医長の滑川明男氏が「グリーフケアと精神疾患」を演題に講演した。グリーフケアのグリーフは「悲嘆」の意味。家族や友人ら親しい人との死別、さらに喪失感を体験した人に寄り添うことで、悲しみから立ち直るケアを指す。

 滑川さんは「グリーフは自然で健全な反応。東日本大震災で家族、住む家、職、古里など大切なものをなくした人が抱く喪失感は人それぞれだが、適切なケアは必要だ」とした。「被災地では大切な人を亡くした人たちの集い『わかちあいの会』を続けている。プライバシー厳守の上、お互いの気持ちを語り、耳を傾ける。悲しみを一人で抱え込むことなく、さらにはグリーフに伴うことの多い自責感を緩和し、自己肯定感を取り戻す機会になる」と、滑川さんは実例を挙げて説明した。

 周囲の人ができることとして滑川さんは「グリーフを抱える人の中にある答えを、本人が見いだせるように寄り添い、見守ることだ。医療機関の中には遺族ケアに注力している所も増えている。社会全体でグリーフケアを充実させる必要がある」と強調した。

 その後、大熊さんが監督を務めた映画を見た。イタリアでは1999年に精神科病院の全てを廃止した。しかし日本では今も、1万3千人もの人が精神科病院に隔離拘束されている。現状を知ってもらうため、多くの証言を集めたドキュメンタリーとなっている。

 参加者は、映画をじっくりと鑑賞し、それぞれが向き合う問題として捉えていた。

※ 映画「精神病院のない社会」 | 日本のMattoの町を考える会
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