車両を活用して大災害の支援や備えに対する動きが石巻地方で活発化している。石巻市の一般社団法人日本カーシェアリング協会は九州豪雨で甚大な被害を受けた熊本県人吉市に対し、災害復旧や生活支援に向けて無償の貸し出し車両を送った。東松島市は大規模災害による停電時に外部給電が可能な車両確保のため県内の販売会社と協力協定を結び、市民の安全安心につなげる構えだ。

<カーシェア協 人吉市へ61台>

 日本カーシェアリング協会は人吉市の要請を受け、協会所有や寄付による61台の車両を無償で貸し出し支援する。初日の16日は石巻にある同協会所有の4台を含め、各地で貸与などの支援に当たる計31台を同市に送った。協会は、他の被災自治体からも同様の要請があれば対応する方針だ。

 2011年に石巻市を拠点に設立した協会は、東日本大震災をはじめ、熊本地震や西日本豪雨などの被災地で無償の車両貸し出し支援を展開しており、今回で11度目となる。

 協会は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策に配慮しながら広域の人的移動を極力抑えて活動。今年6月に佐賀県武雄市に九州支部を開設していたことを踏まえ、人吉市カルチャーパレスホール棟入り口に協会の支援拠点となる臨時ブースを設置。スタッフ3人で活動に当たり、18日に貸し出しを始めた。

 貸し出し車両は石巻市をはじめ、丸森町やいわき市、栃木県栃木市、武雄市などに展開する51台と、兵庫県福崎町の自動車メンテナンス商品の開発や製造、販売に当たるエーモン工業が寄贈した10台。

 このうち石巻市からは、オートバックスセブンの輸送協力を得て、同市南中里1丁目のオートバックスセブン石巻店駐車場から乗用車と軽貨物車2台ずつを車両積載車で現地に送った。

 今回の無償貸与では協会所有の約200台のうち、3割を当てる。大規模支援になるが、協会ソーシャルカーサポート事業部の石渡賢大事業部長(30)は「被災地では多くの車両が水没などしている。貸与車両を積極的に活用してもらい復旧作業や日常生活を取り戻す動きを加速させたい」と被災地を思いやる。

 協会は支援車両の維持管理などに充てる活動資金の提供も受け付けている。連絡先は同協会0225(22)1453。

<PHVで電源確保 トヨタ車販売5社と協定>

 東松島市と県内のトヨタ車販売店5社は15日、災害時に避難所などが停電した場合に外部給電可能な車両貸与に関する協力協定を締結した。プラグイン・ハイブリッド(PHV)車などを活用し、災害発生時の円滑な応急対策を図る。

 災害による停電で車両を使った電源確保のため、市と各社が協定を結ぶのは県内の自治体では初めて。貸与車両を提供するのは宮城トヨタ自動車(後藤誠社長)、仙台トヨペット(佐藤秀之社長)、トヨタカローラ宮城(吉岡博文社長)、ネッツトヨタ仙台(三浦勇治社長)、ネッツトヨタ宮城(後藤誠社長)。

 市庁舎であった締結式には市幹部、各社の社長ら15人が出席。署名などにより協定を締結した後、渥美巌市長は東日本大震災の復興状況を説明しながら「全国では大規模な豪雨や台風被害が相次ぐ。被災時の電源確保は重要課題であり、命を確実に守るための避難所運営に生かす」と強調した。

 各社によるあいさつの中で、佐藤社長は「自然災害が多発しており、外部給電機能の車両は停電時に効果を発揮する。災害から市民の生活を守る取り組みを今後も重ねていく」と述べた。

 外部給電機能では炊飯器や洗濯機、冷蔵庫など複数の電化製品の使用が可能。市は非常時に避難所などに貸与車両を配備し、避難者に対応する考えだ。