飲食店経営など起業への挑戦の舞台となった石巻市中央2丁目の「COMMON-SHIP(コモン・シップ)橋通り」が、11月8日に幕を閉じる。今回の予定事業期間を含め足かけ5年、延べ18店が営業してきた。運営側は、閉場までの間、週末を中心にイベントを開催しながら新たな針路を模索する。

 コモン・シップ橋通りは、地域活性化に取り組むまちづくり会社「街づくりまんぼう」が企画。約760平方メートルの民有地を借り受け、仮設型商業施設としてコンテナやトレーラーハウスを店舗に、出店者などと構成する協議会を設けて運営してきた。

 2015年にチャレンジショップの「橋通りCOMMON(コモン)」として開設された。17年11月にいったん事業を終了した後、惜しむ声が多いこともあり18年4月に2年半の事業期間を設け、スケールアップして再開した。

 コモン・シップは共有の「コモン」と船の「シップ」を掛け合わせ、同じ環境の中で目標に向かい突き進もうと命名。飲食業を軸に出店者が集まり、経営実績を重ねて基盤を充実させ、石巻市内に新たに開業した店もあるという。現在は五つの飲食店が営業中だ。

 運営協議会事務局の街づくりまんぼうは「個別に対応しながら今後もサポートしたい。この場所を含め、イベントを開いたり、起業の意欲を持つ人が集える場を今後も考えていきたい」と話している。

 中心市街地にあり、市民らにも親しまれてきた。閉場までの期間中、イベントを開催していく。18日は午前11時から手作り品の販売やけん玉体験などがある「ウミマチかもめイチ」を開く。最終日には、11日に天候不良のため取りやめていた手作り雑貨や料理を提供する「CRAFT PARTY」を開催する予定だ。


<営業期間わずかでも、店持つ夢実現>

 閉場するまで残り期間がわずかの中、新たに出店して営業する飲食店がある。店主は「店を持つ夢が実現できた。この経験を次のステップへと生かしたい」と前を向く。

 奮闘しているのは軽食などを提供する「cafe ノラネコ」。猫好きの阿部明日美さん(32)=石巻市吉野町=が、小中高の同級生の友人と2人で共同経営し、9月15日に開店した。

 「誰もが気軽に集える場に携わりたい」と20代前半に飲食店経営の夢を持った阿部さん。会社や飲食店に勤務して経験を重ね、客としてコモン・シップを利用してきた。11月の閉場は把握していたが、「将来に向けた基盤作りにしたい」と今夏に出店を決意。友人と短期間で開店準備を整え、出店にこぎつけた。

 阿部さんは「(コモン・シップは)冷蔵庫などが備え付けてあり初期投資の負担が少ない。規模の小さい個人的な起業環境としては最適だ」と話し、創業意欲がより高まったという。

 新型コロナウイルス感染拡大で地元の飲食業界は厳しさを増す。出店を計画する中で周囲には採算などを心配する声はあったが「経営のノウハウを学び、実践できる。将来の土台にもなる」と積極的だ。

 コーヒーやデザート、焼き菓子などのほか、インドの薄焼きパンなどを取り入れたオリジナルカレーも提供する。主力メニューのパフェは、サツマイモを素材にするなど季節感のある6種類をそろえる。月、木曜日が定休日で、午前11時~午後6時まで営業する。徐々にリピーターが増えているという。

 「親しめる店づくりの大切さを実感できた。まだ一つの通過点。夢の実現に満足せず、さらに努力を重ねて将来につなげていきたい」と先を見据えた。