東日本大震災を題材に、石巻市蛇田の書家千葉蒼玄さん(65)=河北書道展運営委員=が制作した書の大作「3.11 鎮魂と復活PARTII」(横13メートル、縦3.6メートル)が、米ロサンゼルスのロサンゼルス・カウンティ美術館(略称ラクマ、LACMA)に収蔵されたことが19日までに分かった。千葉さんは「海外の人たちに見ていただく機会が増えるのでは。来年はちょうど震災から10年。震災を伝える力になれば」と話す。

 作品は、津波で被災した製紙会社近くの壁にへばりついていた新聞紙の力強さに触発されて書かれた。

 震災直後から3カ月分の河北新報などに掲載された震災関連記事を書き写した。一行一行の連なりが独自のうねりを生みだし、巨大な波の襲来を表現している。2013年に発表され、その後、加筆し現在の大きさになった作品を18年11月、東京都美術館の展覧会に出展、反響を呼んだ。

 LACMA収蔵のきっかけになったのは、今年2月に米ロサンゼルスで開かれた「ザ・ロサンゼルス・アート・ショー」への出品。ショーの創始者で墨美術のコレクターでもあるキム・マーティンデールさんが「石巻とロサンゼルスは太平洋を挟んでつながっている」と強調、LACMAに推薦した。しかし新型コロナウイルスの影響で正式に収蔵が決まるまで時間がかかった。

 作品は現在、LACMAの公式サイトのコレクション一覧で公開されている。ショーの会期中に千葉さんがライブパフォーマンスで揮毫(きごう)した作品「○ △ □」(縦3メートル、横2メートル)もLACMAに収蔵された。

 千葉さんは「今は新型コロナウイルスへの不安が社会を覆っているが、収蔵を一つの励みにアートとしての書の可能性を追求し、発信していきたい」と意を新たにしている。

 LACMAは、米国最大級かつ国際的な美術館として知られている。