二本松市出身で日本のトップテノール歌手樋口達哉さん(48)が14日、南相馬市の原町一中を訪れ、全校生徒や父母を前に特別コンサートを開いた。マイク無しの圧倒的な声量に、生徒らから拍手が湧いた。
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地の子どもたちを勇気づけようと、ソロでは初の企画。樋口さんは体育館に集合した生徒349人の後方からベルディの「乾杯の歌」を歌いながら登場した。
 オペラについて解説しながら「サンタ・ルチア」やトゥーランドットから「誰も寝てはならぬ」など八つの名曲を披露。ピアノはオルガン奏者としても有名な南相馬市出身で、同中が母校の青田絹江さん(55)が担当した。
 同校の校歌を樋口さんが歌うサプライズも。聞き終えた生徒会長で3年の田中暖々(のの)さん(14)は「声量は圧巻。びっくりした。同じ福島の出身なので余計に思いが伝わってきた」と話した。
 樋口さんは「オペラはなじみがないかもしれないが、音楽の力が伝わると信じたい。子どもたちの海外への視野が広がるよう、今後も被災地でこうした活動を続けたい」と語った。
 樋口さんは武蔵野音大大学院修了後、イタリアに留学。ミラノ・スカラ座などで活躍後に帰国。仙台フィルハーモニー管弦楽団と組んだアルバムなどがある。