東日本大震災の津波で当時の町長ら40人が犠牲になった岩手県大槌町の旧役場庁舎について、住民団体「おおづちの未来と命を考える会」(高橋英悟代表)は11日、平野公三町長に対して解体工事の差し止めを求める仮処分を盛岡地裁に申し立てた。

 併せて考える会は、18日にも解体工事を始める方針の町に地裁判断を待つよう要請した。平野町長は「対応は現在検討中」との談話を出した。
 申立書は「震災時の役場対応には落ち度があり、原因の検証を続けるには旧庁舎を保存する必要がある」と主張。解体以外の方法を検討しないのは、地方公共団体の財産を効率的に運用すべき地方財政法上の注意義務に違反すると訴えた。
 さらに、旧庁舎は震災遺構として「社会的、経済的に高い価値を有する」と指摘。専門家や保存を望む町民の意見を考慮しないまま価値を見極めずに解体するのは、文化財保護法上の保護義務に違反するとした。
 一般会計当初予算案と解体費4700万円を盛り込んだ補正予算案を一括提出した手続きについても地方自治法に反するとした。
 高橋代表は「今すぐ結論を出すのではなく、子どもたちのために何を残せるか、一度立ち止まって考えたい」と訴えた。考える会は解体工事への公金支出に違法性があるとして町監査委員に住民監査も請求しており、棄却された場合は住民訴訟の提起を検討している。