東日本大震災の被災者が暮らす岩手、宮城、福島3県の災害公営住宅(復興公営住宅)で、自治会長の8割弱が「役員の担い手が不足している」と感じていることが10日、河北新報社のアンケートで分かった。回答した66人のうち半数超が任期より長く会長を続けており、役員の欠員も目立った。震災から8年半。住まいの再生は進んだが、持続可能なコミュニティー形成の核となる自治組織の不安定さが浮き彫りになった。(報道部・鈴木拓也)

 担い手アンケートの結果はグラフの通り。担い手不足を「感じる」が39人(59.1%)、「少し感じる」が12人(18.2%)で合わせて51人(77.3%)。「感じない」は12人(18.2%)、「分からない」は3人(4.5%)だった。

 自由記述では「次年度の役員を募集しても希望者がいない」「高齢者にはハードルが高い。若い人は仕事との両立が難しい」など苦悩する様子が浮かび、「やる気があって動ける人はごく一部」との声もあった。

 就任年数が任期より長い会長は36人(54.5%)。3自治会は任期を定めていなかった。任期1年で毎年更新し、4年目となる会長は「役員の交代ができず、欠員が目立つ。自治会を存続するにはどうしたらいいか」と危機感を募らせる。

 会長の年齢は70代が29人(43.9%)と最も多く、次いで60代の24人(36.4%)。80代も5人(7.6%)おり、適任者が見つからず留任しているケースもあった。

 役員の欠員が生じている自治会は17(25.8%)。欠員がない自治会でも「数合わせになっている」という意見があった。約30世帯の小規模な自治会ながら、役員数を10人に設定している団地もあった。

 被災者の見守り活動に詳しい東北学院大の本間照雄特任教授(福祉社会学)は「自治会長の負担感が大きく、それが担い手不足につながっている。住まいができて復興が終わりではない。安心した暮らしを取り戻すにはまだ時間が必要だ」と指摘する。

 河北新報社が被災3県の災害公営住宅を整備した自治体を対象に実施したアンケートによると、宮城県の災害公営住宅は3月に全1万5823戸が完成。岩手県は5652戸(完成率96.9%)、福島県は7917戸(96.8%)の整備が済んだ。完成した全627団地のうち562団地(89.6%)が自治会を設立したか、近隣の自治会に編入した。

[調査の方法]集合住宅タイプを中心とした岩手、宮城、福島3県の災害公営住宅が対象。地域バランスを考慮し、7~8月、自治会長76人にアンケートを配り、26市町の66人から回答を得た。回答率86.8%。災害公営住宅単独の自治会は45(68.2%)で、近隣の自治会に編入するなどしたのは21(31.8%)。入居者でつくる「世話人会」や「管理人会」なども自治組織と捉え、調査対象とした。