東日本大震災の津波に耐え、別の場所に移植されていた宮城県気仙沼市の大川沿いにあった桜が3日、かつて桜並木があった場所に近い公園予定地に移った。津波で流失し、河川堤防の改修工事でほとんどの桜は伐採されたが、住民有志が元気な7本を別の場所で大切に育ててきた。

 同市内の脇1丁目の大川沿いにあった約730メートルの桜並木は、桜の名所の一つだった。花見の季節は多くの人でにぎわい、住民がホルモンを炭火で焼きながら観賞する光景は、気仙沼の風物詩だった。

 桜は津波で3分の1が流された。残った約110本の一部は震災の年も花を咲かせたが、県の河川堤防の改修工事に伴い、2013年10月に伐採された。

 地元の住民グループ「気仙沼大川桜並木を保全する会」が「希望の桜として残したい」として塩害などが少ない桜7本を選び、市内の別の場所に移植。その後、桜並木があった大川沿い近くの土地区画整理事業が進み、公園への移植が決まった。

 3日は、同市本郷の民有地で生育した桜を公園に運ぶ作業があった。7本の桜は樹齢約40年、高さ6メートル。作業員がクレーンを使って丁寧にトラックに載せ、新たな移植先に運んだ。

 公園は今秋、完成する予定。工事を見守った保全する会の橋本恒宏会長(55)は「ようやく落ち着いた場所に戻すことができる。震災前、大川の桜は気仙沼市民にとって大きな存在だった。公園は新たな憩いの場でもあり、震災を伝承する役割も担う」と話した。