東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の沿岸部の小中学校が、震災伝承学習を進める上で「震災を知らない子どもの増加」「授業時間の確保」「被災した子どもらへの配慮」という3点を主な課題と捉えていることが宮城教育大(仙台市)と河北新報社の合同調査で分かった。新型コロナウイルス感染症の影響が長引けば、学校での震災伝承が一層困難になる恐れも出ている。

 震災を学ぶ上での課題を複数回答で選んでもらったところ「震災を知らない子どもが増えている」が61.28%で最多。「授業・学習活動の時間が確保できない」(46.46%)「被災した子どもや保護者への配慮が必要」(37.71%)と続いた。

 震災から9年2カ月が過ぎ、震災を知らない世代が増え続けている。一方で「亡くなった児童や親を亡くした遺児がおり(詳細な震災学習は)まだ早い」(岩手県の小学校)との回答もあり、取り組みの難しさがうかがえた。

 住民らの語り部活動や地元の震災関連施設見学、地域の防災訓練への参加などを通して「災害への備えや自然災害に対する意識の向上を図っている」との回答が目立った。

 「地域の協力が得られない」との回答は1.01%、「地域で震災関連の行事が減少」も3.03%にとどまり、ほぼ全ての学校が地域の協力が得られていることが分かった。

 調査を担当した宮城教育大の小田隆史准教授(地理学)は「新型コロナにより、震災伝承学習の時間の確保が厳しくなった。来年3月で発生10年となる震災を子どもにどう伝えていくか、学校、行政、地域一体となった議論が必要だ」と指摘する。

[調査の方法]合同調査は宮城教育大と河北新報社の連携協定に基づき今年1~2月、2019年度の教育計画に関して実施。岩手、宮城、福島3県の沿岸部(仙台市は若林区、宮城野区が対象)の公立小中学校全524校に質問票を送付し、297校から回答があった。回答率は56.68%。