宮城県気仙沼市は21日、最新の防潮堤高や地盤隆起を踏まえて昨年実施した2度目の津波浸水シミュレーションの検証結果について、非公開としていた同市の決定を取り消す裁決をした。

 市情報公開審査会が、検証結果の非公開決定を取り消すよう市に求めた3月31日付の答申に基づく判断。市は裁決理由について、公開によって東日本大震災の復旧事業に市民から改めて多様な意見が出る可能性を認めつつも「(事業への影響は)可能な限り丁寧な説明で一定程度回避できる」「事業執行に著しい支障は生じない」などとした。

 市は昨年8月の市議会震災調査特別委員会で、シミュレーションの浸水域は2012年時とほぼ同じで、復興事業に影響はないと説明。災害危険区域を見直す必要はないとした一方、詳細は明らかにしなかった。

 このため、今川悟市議(45)が検証結果の公開を市に請求したが、市は「市民に無用な混乱を生じさせる恐れがある」として非公開を決定。今川市議は不服として昨年11月、市に審査請求した。両者の書面でのやりとりを経て、市が審査会に非公開決定の妥当性を諮問していた。

 審査会の答申は「市民が市の事業に意見を主張することは妨げられず、それを『支障』のように評価するのは適切ではない」と指摘していた。

 判断の変更について、市住宅課は「非公開に該当するかどうか曖昧な部分があったが、示された解釈に基づき適切に対応する」とした。市が指定した災害危険区域は、変更しない方針。

[気仙沼市の津波浸水シミュレーション]気仙沼市が建築を制限する災害危険区域を指定するため、堤防整備などを考慮し2012年に実施。その後、半数以上の防潮堤計画で高さが変更となり、災害危険区域を見直す必要性の有無を確認するため、19年に再び実施した。