東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が2017年春に解除された福島県川俣町山木屋地区で、全町避難が続く同県双葉町から移植されたヒガンバナが見頃を迎えた。双葉町民が6日に現地を訪れ、花を手入れする山木屋住民と交流して古里に思いをはせた。

 昨年4月に移植されたのは、双葉町細谷地区で咲いていたヒガンバナの球根約3000個。今年はやや遅い9月下旬に赤い花が開き始めた。6日は細谷地区の6人が花畑を見学。畑を所有・管理する農業菅野源勝さん(71)らと交流した。

 細谷地区は除染廃棄物の中間貯蔵施設が整備され、帰還は当面望めない。花で山木屋を盛り上げたい菅野さんに、花を残したい細谷側が移植を持ち掛けた。

 菅野さんは「私たちは先に帰還できたが、今も帰るめどが立たない皆さんの悲しみや苦しみは相当なものだと思う。花が少しでも慰めになればいい」と話した。

 郡山市に暮らす細谷行政区副区長の田中信一さん(68)は「古里で咲いていた花を見ると気持ちが和らぐ。毎年来たい」と話した。双葉町は来年春に一部区域の避難指示先行解除を計画しており、細谷側は花の「里帰り」を検討する。