東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が昨年4月に一部地区で解除された福島県大熊町の成人式は、いわき市であった。町では初めて新成人による実行委員が企画。対象者120人のうち出席した52人の新成人は、手作りの式で古里の思い出に浸った。

 実行委を務めた向井和奏(わかな)さんと石田瑞希さんはともに20歳の専門学校生。それぞれ東京で観光、仙台で医療事務を学ぶ。

 2人は会津若松市に避難する熊町小、大熊中を卒業後、そろっていわき市のいわき総合高に進学した大の仲良し。「思い出に残る式にしたい」と実行委に名乗り出た。

 従来は町教委の職員が司会を務め、内容も決めていた。今回は2人が司会し、恩師らに借りた写真約1万枚のデータを基に約15分の「思い出上映会」を企画した。懇親会も同じ会場で開催し、懐かしい友人や恩師と語り合う場を設けて盛況だった。

 式終了後、2人は「不安だったけど無事に終えて良かった。達成感がある」とほっとした表情を見せた。

 吉田淳町長は式辞で「古里大熊に関心を持って小さなことでも復興に参画してほしい」と強調。記念品として、それぞれの「読みたい本」が贈られた。

 新成人代表の阿部朱也香(あやか)さん(20)=東洋大2年=は「『もし友人たちと離れ離れにならなかったら』と悩んだ日もあった。葛藤が将来の糧、誇りになる日がきっと来ると信じる」と誓いの言葉を述べた。