河北新報社が宮城県内を対象に実施した原発に関する世論調査で、東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に必要な「地元同意」の範囲について、村井嘉浩知事が主張する「県と立地自治体の女川町、石巻市」が適切だとする回答は7.6%にとどまり、2017年の前回調査と変わらなかった。最も多かったのは「県と県内全ての自治体」で、前回を5.3ポイント上回る60.8%に上った。

 県と立地2市町に、半径30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の5市町(登米市、東松島市、涌谷町、美里町、南三陸町)を加えた範囲が適切との回答は29.8%だった。

 「県と立地自治体」と回答した割合は、地域別に見ると女川町は23.0%となった一方、石巻市は7.5%、UPZ5市町が7.8%だった。

 再稼働の同意判断で重視する点(複数回答)は、「住民の意向確認や住民投票の結果」が55.6%で他の回答を大きく引き離した。「東北電力の安全対策」33.8%、「避難計画の実効性」26.7%、「原子力規制委員会の審査結果」20.8%と続く。「有識者検討会の検討結果」は13.2%どまりだった。

 原発再稼働の是非を問う住民投票実施については「賛成」が79.7%を占め、「反対」は16.5%のみだった。「賛成」は立地2市町でも76.2%、UPZ5市町は85.8%に達した。

 女川2号機再稼働への賛否との関連を見ると、再稼働に「どちらかといえば賛成」「どちらかといえば反対」「反対」と答えた人は
78~87%が住民投票に賛成した。一方、再稼働に「賛成」の立場は住民投票への賛成が49.5%にとどまり、住民意思を直接的に反映させることへの慎重な姿勢がにじんだ。

 住民投票を巡っては、市民団体が昨年2月、約11万人の署名を集めて知事に直接請求。提出された条例案について、県議会は同年の2月定例会で「二者択一の選択肢に課題がある」などとして反対多数で否決。今年の2月定例会では県議会の野党会派が住民投票条例案を議員提出したが、即日採決で否決されている。

?地元同意 原発再稼働の前提となる地元自治体の同意に法的規定はなく、政府は「立地自治体等関係者」の理解を得て再稼働を進める方針を示す。これまで国の新規制基準に基づき再稼働した全国の5原発9基も、対象は県と立地自治体に限られた。一方、東京電力福島第1原発事故を受けて政府は2012年、避難計画策定を義務付ける範囲を半径8~10キロ圏から30キロ圏に拡大した。

◎「広域避難計画「不十分」59%

 女川2号機の重大事故を想定した広域避難計画=?=も聞いた。避難計画についてどう思うか尋ねたところ、「不十分」「どちらかといえば不十分」が計59.7%に上った。

 「十分」「どちらかといえば十分」は計24.1%にとどまり、「分からない・無回答」は15.8%。地域別では、立地自治体の女川町も不十分との意見が計55.5%に上った。

 避難計画について、17年8月の前回調査は不十分が計58.8%、十分25.6%だった。2年半余りを経て、策定を義務付けられた全7市町の計画が出そろった中でも、事故発生時の実効性に対する県民の不安が払拭(ふっしょく)されていないことが浮き彫りになった。

 不十分と答えた理由は、「放射性物質汚染の広がり方の想定が不十分」が42.7%で最も多かった。「高齢者ら要援護者の避難想定が不十分」19.7%、「渋滞の発生など混乱が予想される」12.9%、「事故発生後の情報伝達が不安」11.6%と続く。

 「住民への周知が不十分」は前回の23.6%から今回は9.6%となり、周知が一定程度進んだ半面、計画自体の信頼性向上には結び付いていない。避難計画を巡っては、石巻市の市民団体が昨年11月、計画には実効性がないとして、仙台地裁に地元同意差し止めの仮処分を申し立てている。

 今後の原発政策は「段階的に減らして将来的にゼロ」が72.2%でトップ。「いますぐゼロ」13.3%、「段階的に減らすが新しい原発をつくり一定数維持」9.3%、「積極的に活用」3.6%だった。


[広域避難計画] 東京電力福島第1原発事故を踏まえ、国が原発から半径30キロ圏内の自治体に策定を義務付けた。重大事故時に30キロ圏外に避難できるよう、避難先やルート、輸送手段を定める。女川原発周辺の宮城県内7市町が2017年3月までに策定し、今年3月には内閣府や県などでつくる「女川地域原子力防災協議会」が取りまとめた。住民約19万9000人が自家用車やバスなどで県内31市町村に避難する内容で、政府の原子力防災会議で近く了承される見通し。