日本に在住する台湾籍の若者たちが、東京電力福島第1原発事故で被災した福島県を巡るツアーに取り組んでいる。原発事故後に福島産食品などの輸入禁止措置を続ける台湾に会員制交流サイト(SNS)を通じて復興の現状を伝える一方、12月には台北市でメンバーがツアーを報告するイベントも予定している。

 留学生や社会人ら24~32歳の男女5人による「福島前進団」は19日、中通り地方を回った。

 このうち大学院生の謝秉澄さん(25)=京都市=は福島県須賀川市の農業設楽哲也さん(41)方を訪問。風評被害で首都圏の取引先を失い、市内の飲食店に通って野菜を直接売り込んだ経験談に耳を傾けた。

 設楽さんの農園で収穫された旬のサトイモを使ったピザやスイーツも試食し、謝さんは「福島産の食べ物はどれもおいしい。素晴らしさを台湾に発信する責任感が強まった」と語った。

 16日から県内全域に足を運ぶ一行は18日、廃炉作業が進む福島第1原発の構内も視察した。最終日の21日は福島大生との交流会に参加する。

 ツアーを発案したのは在日台湾人らでつくる「東京台湾の会」の理事長を務める簡憲幸さん(66)=東京都中野区=。

 台湾籍で日本で生まれ育った簡さんは「被災地の真の姿が台湾に伝わっていないのが悔しかった」と語る。発信力の高い若者が福島を歩き、ありのままを伝えれば風評被害の払拭(ふっしょく)や禁輸措置の解除につながると考え、復興支援のNPO法人「元気になろう福島」(福島県川内村)に企画を依頼した。

 メンバーはフェイスブックなどを通じて台湾の賛同者を募り、1万人の登録を目指す。賛同者も今後、日台で開くイベントなどに参加してもらう方針だ。

 リーダーの広告代理店経営呉廷中さん(32)=東京都新宿区=は「台湾人にとって原発事故があった福島は負の印象が強いが、われわれが新しいイメージに塗り替える」と意気込む。