◎東北大病院 咬合修復科科長 江草宏教授

 金属アレルギーと聞くと、ピアスやネックレスなどの金属製のアクセサリーが皮膚に触れてかゆくなったり赤くただれたりする症状を思い浮かべる方が多いと思いますが、お口の中にある歯科金属が原因で生じるアレルギーもあります。これを「歯科金属アレルギー」と呼び、その症状は唇や舌の違和感や口内炎などお口の中だけでなく、顔、手足、背中の湿疹やアトピー性皮膚炎に似た症状など、全身性に現れることも多いのが特徴です。

■まずは皮膚科へ

 この歯科金属アレルギー、金属の詰め物やかぶせもの、入れ歯のバネなどがアレルギー症状の引き金となり得ますが、皮膚炎の症状がこれら歯科治療を終了した数年後に突然生じることがあるため、その原因がお口の中にあることに気付き難く、注意が必要です。ただし、皮膚炎でお困りの患者さん全体の数からすると、歯科金属がその原因となっている場合はあくまでもごく一部です。したがって、皮膚炎でお困りの場合に、お口の中にある歯科金属を気にして、いきなり歯科医院で取り除いてしまうことは適切ではありません。まずは皮膚科を受診し、適切な検査、診断を受けることが大事です。その上で、皮膚科での標準的な治療に対して症状の改善を認めない場合に、初めてお口の中の歯科金属を疑うことになります。

 歯科金属アレルギーの検査には、歯科材料に含まれている金属元素を背中に貼付して皮膚の反応を調べるパッチテストが一般的です。この検査で特定の金属元素に反応を認めた場合には、それらを含む歯科材料をお口の中から取り除き、仮の詰め物やかぶせものをする処置に移ります。お口の中から歯科金属を取り除いても、すぐに症状が無くなることは少なく、数カ月から1年かけて治っていくことが一般的です。また、金属の詰め物を削って取り除く際に、その削片が体内に取り込まれ、症状が一時的に悪化する場合もありますが、その後数カ月以内に改善することがほとんどですので、歯科医の指示に従ってください。

■安全な材料選び

 歯科金属を取り除くことによって症状の改善を認めた場合には、その患者さんに最も安全な歯科材料を慎重に検索し、仮の詰め物やかぶせものを最終的なものに置き換えていきます。症状の再発防止のためには、生活の中でアレルギーの原因となる金属にできるだけ接触しないよう心掛けることも大切です。最近では、金属を用いない詰め物、かぶせもの、ブリッジの治療に保険が適用できる場合も増えてきていますので、歯科金属アレルギー治療の際にはかかりつけの歯科医または当院歯科金属アレルギー外来にご相談ください。
=次回は17日掲載=