ある朝、ふと西の空を見てハッとした。なんて美しい月なんだろう。冬は星ばかりではなく、月まできれいに見えるんだ。そんな話をしているうちに、あることを思い出した2人は仙台市天文台(青葉区錦ケ丘)に行くことに。仙台駅西口青葉通にあるバス停から、タケヤ交通のバスに乗って20分あまり、仙台市天文台は思いのほか近い。

 中に入ると正面のミュージアムショップを横目に、展示室へ。その入り口では、パッと壁に映された星くず舞う映像に囲まれる。目の前には美しい地球の模型。「地球から飛び出して太陽系、銀河系、大宇宙へと旅する感覚で見えるように展示されているんです」と、説明スタッフの方が教えてくれる。

 「これが土星です」と指さす方を見ると「わっ、でかっ!」。「惑星模型は5000万分の1の大きさで造られているんですよ」。うーんとうなっているところに、画伯の質問「土星の輪って何からできているんですか?」に返ってきた答えは「氷の粒と小さな岩石です」。またしても、うーんだ。宇宙ってなんて不思議に満ちているんだろう。

 ふわふわと宇宙遊泳するように楽しんだ2人は、第一目的である「あること」について聞くことに。それは、仙台市天文台だけで売っている「アースキャンディ」についてなのだ。

 教えてくれたのは総務・広報の鈴木真理子さん(43)と今野幸さん(27)だ。「仙台市天文台がこちらに移転したのが2008年で、その時から私たちは『宇宙を身近に』を施設のミッションに活動しています」と鈴木さんがにこやかに話す。

 そうした中、ミュージアムショップで販売するオリジナルグッズの一つとしてキャンディーの素材が提案された。その丸い形から地球をモチーフにしたいと考え、美しく見える地球の画像を選び、色味の調節を繰り返しながらきれいに見えるようにとこだわってできたのが「アースキャンディ」なのだ。

 「台紙には、地球の地軸の傾き23.4度をイラストで添えました。実際に23.4度傾けながらあめをなめていただけたら、私たちが住む地球という惑星を身近に感じてもらえるかもしれないと話し合ったんです」

 アースキャンディの完成は14年。その後、ムーンキャンディ、オーロラキャンディなど9種類に、味もイチゴ、コーラ、ソーダと増えた。

 オリジナルで企画したのはこれだけではない。東日本大震災後、スタッフが何かできないかと考え始め、たどり着いたのが震災の日の星空をテーマとした「星空とともに」の制作だった。

 「それは、お客さんがふと話す『あの日、どうしてあんなに星がきれいに見えたのでしょうか』といった言葉を多く聞いたからでした」と話すのは、担当した高橋博子さん(64)。「星空とともに」は12年の3月に投映し、その後は全国各地でも投映された。昨年、第2章となる「星よりも、遠くへ」も制作した。

 帰ってきて空を見上げれば、北斗七星の位置が変わった。満天の星を見上げ、ちっぽけな私だけど幸せと、きれいなアースキャンディをペロリとなめた。

 ※今年も3月に投映予定だった「星空とともに」と「星よりも、遠くへ」は、新型コロナウイルスの影響で中止に。詳しくは仙台市天文台のウェブサイトへ。

◎おぼえがき/砂糖を煮詰め流し固める

 手軽に食べられる菓子の代表・キャンディーは、砂糖や水あめを主原料として煮詰めた後、少し固めたもの。副原料にクリーム、チョコレート、香料などを用いてさまざまな味になる。

 語源は、ラテン語の「can(砂糖)」と「di(型に流し入れて固める)」からきたというものなど、いくつかの説がある。

 大きく分けて、煮詰める時の温度により高温で加熱して硬く仕上げたハードキャンディーと、低温で加熱してやわらかく仕上げたソフトキャンディーがある。ハードキャンディーはドロップやタフィ、バタースコッチ、またソフトキャンディーはキャラメル、ヌガーなどである。

 ちなみに砂糖は、奈良時代に中国から伝えられた。当初は大変貴重な薬とされていて、菓子作りに使われるようになったのは鎌倉時代以降。

 16世紀に入って、日本にやってきた宣教師ルイス・フロイスが砂糖菓子の一つ・コンペイトーを、織田信長にプレゼントしたと伝わっている。

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 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。