地震が続く熊本、大分両県では、計10万人超の避難者がいる。当面の暮らしの場となる避難所は、東日本大震災の被災地でも当初混乱し、さまざまな課題があった。ストレスの少ない居住空間づくりをはじめ、高齢者や女性など多様な視点が欠かせない。震災を教訓に、東北の関係者が避難所運営について助言する。

■居住空間の区割り重要/女性や高齢者の視点を

 消防庁防災アドバイザーを務める仙台市太白区の吉田亮一さん(58)は「避難所暮らしの最大の問題が疲労と混乱だ」と指摘する。緩和する方法の一つが居住部分の区割りだという。

 体育館など広い場所では一定のルールがないと、複数の「島」ができるのが一般的。震災の初期も場所取りが起きた。熊本地震でも同様だ。島は四方を人が通り、気疲れの原因になる(図1)。居住スペースを図2のような「半島」にすると、人通りは半島の先端にほぼ限定される。

 食料配布でいら立つ避難者も。例えばおにぎり。握って配る方法では時間がかかる。ご飯をビニール袋に入れて配り、握る作業は各自に任せれば、手間も時間も省ける。

 避難所の苦情が増えると、対応する行政職員が疲れる悪循環を招く。吉田さんは「避難者、運営側ともにストレスをためない工夫が大事だ」と訴える。

 避難所には災害弱者と呼ばれる障害者や高齢者、乳幼児が身を寄せる。避難生活が長期化すれば、最も影響を受ける人たちだ。

 震災では、避難所で体を動かす機会が減るなど環境の激変によって認知症を悪化させたり、肺炎を繰り返したりした高齢者がいた。

 宮城県介護福祉士会の雫石理枝会長は、高齢化率の高い熊本県で同様の事態を懸念し「避難所の高齢者の情報を集約することが重要だ」と強調する。

 障害のある家族やペットを飼う人が周囲に気兼ねし、被災した自宅に戻った例も多かった。NPO法人イコールネット仙台の宗片恵美子代表理事は「困難を抱える人が避難所を出て行かざるを得ないのは問題。当事者は自ら声を上げてほしい」と話す。

 男女共同の仮設トイレなど女性への配慮を欠いた避難所があり、震災を機に災害対策に多様な視点を求める声が高まった。国は2013年、災害対策基本法を改正。避難所の環境に関する指針に男女別のトイレや更衣室、授乳室の設置などを盛り込んだ。熊本地震ではその実践が試される。

 震災時、宮城野区長として避難者対応に当たった木須八重子せんだい男女共同参画財団理事長は「災害時でも誰もが尊厳ある生活を送る権利がある。多様性への配慮を共有すべきだ」とアドバイスする。

(2016年04月19日朝刊掲載)