古来、秋は「もの思ふ」季節。人間ばかりではありません。この世にあるもの全てが「もの思ふ」季節なのです。クレーン車を「麒麟(きりん)」に見立てて詠まれた歌はよくあるのですが、この歌は「麒麟」そして「クレーン車」も「もの思ふ」と歌っているところが魅力的です。また、「佇(たたず)みてゐる」と擬人的に歌われたことにより、秋の静かな時間のゆったりとした流れを感じます。澄み切った秋空も、もの思いにふけっていたのかもしれませんね。(本田一弘)