サザンカの咲き始める頃です。景色に色のない時季、その花の鮮やかさは目を引きます。作者は歌壇と距離を置き、ひたすら自分の思う歌のかたちを追求しました。掲出歌、サザンカの花びらが散っている土の上に雨が降りやまないことだという意味です。全てひらがな表記、音で成立させる歌なのです。声に出して読んでみてください。「の・に・に」と優しくつなげ、初句と結句でZ音を響かせます。流れて消えてゆく、言葉の美しい調べです。(駒田晶子)