「木の芽どき」は木々が新芽を吹くころ。早春。と辞書には書かれています。まだ肌寒い空気の中、木の枝の先のつぼみが膨らんでいるのを見ると、春が近いのだな、とやわらかな気持ちになります。掲出歌は東日本大震災直後に作られました。いったい何が起こったのか。現実の大きさに人々の理解が追いつかない日々の中、自然は静かに季節を移ろっていたこと。「木の芽」以外、全て平仮名で記されています。9年前の春。歌集『昔話』より。(駒田晶子)