ベンチの上に荷物が入ったレジ袋が一つ置かれています。それがまるで兎(うさぎ)が座っている形のようだという発見がユニーク。言われてみると白いレジ袋の持ち手が兎のかわいい二つの耳のように思えてきます。「兎ひとつ」は寂しさの象徴でしょう。レジ袋の「白」と夕暮れの色。色彩感覚にも優れている作者だと思いました。他に<「くれなゐ」は旧仮名が好し春寒の固き口紅筆先に取る>と紅色を詠んだ歌が印象に残ります。歌集『時時淡譚』より。
(本田一弘)