「蕗(ふき)の薹(とう)」は春の代表的な山菜。蕗の薹を刻んで油で炒め、それを混ぜ合わせて蕗の薹みそ(蕗みそとも呼ばれます)を作った作者。<蓬摘み草餅つくるはわが領分妻の居れども譲ることなし>という歌もあり、相当な料理好きなのでしょう。ご飯のお供や酒のさかなに蕗の薹みそを食べていたのだが、なくなってしまい、名残惜しいなあ。ああ3月が逝ってしまうのだなあ。素直な感慨が味わい深く、心に染みてきます。歌集『大和くにはら』より。
(本田一弘)