「あの日とあまり変わっていない」。昨年夏、東日本大震災後初めて古里を訪れた木村舞雪(まゆ)さん(19)がつぶやいた。

 自宅があったのは、東京電力福島第1原発事故によって今も避難指示が続く福島県大熊町の熊川地区。原発から約3キロの海沿いにあり、津波で母親と妹汐凪( ゆうな)さん、祖父が犠牲になった。

 父親の紀夫さん(54)と共に長野県へ避難していた舞雪さんは昨年、東京都の専門学校へ進学。紀夫さんも古里に近いいわき市に住まいを移し、いまも汐凪さんを探し続けている。

 同町沿岸部には、除染作業に伴って出た廃棄物を保管する中間貯蔵施設が立地した。山積みのフレコンバックも増え続け、古里には今も津波と原発事故が濃い影を落とす。紀夫さんは不安を隠しながら話す。「この地がどうなっていくのか。ずっと見守っていきたい」
(写真部・川村公俊)