地域生活支援オレンジねっとは2006年、仙台市泉区南光台を拠点に設立(2017年にNPO法人化)されました。「住民同士の助け合いの仕組みをつくりたい」と、地域に寄り添い活動してきました。
 例えば地域に、認知症になってもなるべく長く自宅で暮らし続けたいと希望する方がいたら、家族や専門機関と住民がつながり一緒になって支えています。
 助け合いを地域に広めるには、住民に地域課題を発信し、共感を得ることが大切。こう考えて(1)家事や通院などをサポートする生活支援活動(2)ランチの提供やお弁当の配達などを行うコミュニティーカフェ運営(3)認知症予防教室-など幅広い事業を行っています。
 活動の特徴は、介護保険制度事業を行っていないことです。代表の荒川陽子さんは「団体が目指す助け合いの仕組みづくりは制度事業とは別次元にあり、今後も行う予定はない」と言います。
 そうした考えには理由があります。
 00年の制度施行後、多くのNPOが介護保険事業に参入しました。制度事業を行うことで財源が安定化して継続性が担保されます。一方で「収益の追求」と「ボランタリーな活動の推進」という相反する考え方の乖離(かいり)に苦しむ団体の姿も多く見られるようになりました。
 また、介護福祉サービスの専門分化が進み、「福祉は専門職が担う」という構造が生まれました。
 15年からは介護保険法が一部改正され、国は住民をはじめ多様な主体による地域の支え合い体制づくりを推進する方向性を示しました。「しかし、制度による助け合いの仕組みづくりは本当に可能なのだろうか」と、荒川さんは疑問を呈します。
 本来であれば、住民同士の助け合い活動の意義をもっと地域で語り合う場が必要です。そのプロセスがないまま、住民には制度の隙間を埋めてサービスを補完するような動きが求められています。今、住民主体の助け合いの在り方が問われています。
 現行の制度では、専門職の考え方や経験によって提供するサービス内容が異なり、当事者本人の人生に大きな影響を与えます。オレンジねっとでは、たとえ障がいがあっても利用者本人に寄り添い、「一人一人がどう生きたいのか」を大切に受け止めて応援したいと考えています。
 本人の意思をベースにした助け合いの仕組みづくりを実現するには、当事者や家族の生活課題、住民意識に丁寧に向き合うことが大切です。加えて、地域について学び合う「育ち合い」のプロセスを重ねることが必要です。
 オレンジネットは昨年度、地域の「認知症当事者」を招いて住民、家族、民生委員、ボランティア団体、専門職が交流する勉強会を開催しました。当事者から語られる地域への思いを初めて聞いたという方も多かったようです。
 「このような学びの場の積み重ねが地域づくりの仲間を増やしていくことにつながる」。荒川さんはこう考えています。
 オレンジねっとの挑戦は続きます。活動に共感する方は、まずはサロンや勉強会に参加することから始めてみませんか?
(宮城県サポートセンター支援事務所 真壁さおり)