東アフリカに位置するケニアの首都ナイロビは、アフリカ有数の世界都市で、人口は400万~500万。100万都市の仙台市よりも約100平方キロ小さい面積に4倍以上もの人たちが暮らすといわれています。その半分がスラム人口。都市部のうち極貧層が居住する過密化した地区に住んでいる人たちです。

 NPO法人アマニ・ヤ・アフリカ(仙台市)は1999年、ナイロビにあるアフリカ最大規模のスラム「キベラスラム」を支援するため設立されました。今年で20周年を迎えました。

 活動のきっかけは、初代理事長の息子が大学の研究でキベラスラムを訪れていたこと。わが子の熱心な姿に「一度自分たちも現地を見てみよう」と家族で訪問したことでした。

 目の当たりにしたのは、政府から放置され、国際社会の援助の手も届かない厳しい環境と、必死に生きる人たち。「何とかしなくては」という思いに駆られ、そして仙台を拠点に賛同する仲間が集まりました。

 ケニアは貧富の格差が激しく、都市部の家賃はあまりに高いのが現実。仕事があってもスラム地区に住んでオフィスに通勤している人もいるそうです。

 格差の背景にある一つが、原油などの資源に注目した先進国によるアフリカ開発。富裕層はより裕福になる一方、利益は開発した国側のものになるため、現地での仕事はあまり増えないという問題が起きています。「貧富の差は広がるばかり。格差のレベルは途方もないほどだ」と、現在のアマニ理事長の石原輝さん(45)は言います。

 親に仕事がないため、食べ物を手に入れようと路上に立つストリートチルドレンは、教育を受けられなければ貧困の連鎖から抜け出せません。アマニは「雇用の創出と教育支援が一緒にあるべきだ」と考えました。

 始めたのは職業訓練所の設立です。適正な価格で取引するフェアトレード商品作りを支援するためで、洋裁の技術を身に付けてもらいました。

 実際に作った小物やアクセサリーは日本で販売。収益は、ケニア人と日本人が共同設立し、アマニも運営協力する小学校「マゴソスクール」の給食費などに充てています。親の経済的自立から子どもの教育へ支援の輪を回す「フェアトレードサイクル」に力を入れてきました。

 仙台の販売会での人気商品が、東アフリカ伝統の生地「カンガ」で作られた色鮮やかな柄のポーチです。購入客から寄せられる「こんなサイズや形だともっといい」といった声は、職業訓練所卒業生の作り手に伝えられています。そのたびに商品の完成度は磨き上げられ、取扱店が増えるなど、日本での販路が広がっています。

 それでも売り上げは活動開始当初より落ち込んでいるそう。一方、現地は物価の上昇に伴って給食にかかる費用は上がっているといいます。

 「給食が唯一の食事という子どもや、家族のために給食を持ち帰る子どもがいる。国を変えることはできないけれど、今おなかをすかせて困っている人を助けることはできる」と、石原さんは強調します。

 アマニは偶数月、仙台市宮城野区のみやぎNPOプラザで販売会を開催しています。ショップをのぞくとともに、現地の様子を聞いてみてみませんか。
(認定NPO法人杜の伝言板ゆるる 小野寺真美)