東日本大震災から間もなく9年。大規模災害はその後、何度も日本各地を襲い、防災や災害復興が地域の最重要課題の一つとなっています。解決には「女性の視点」が欠かせない-。NPO法人イコールネット仙台はこう考えて活動しています。

 イコールネット仙台は2003年、男女共同参画社会の実現に向けて「生活全て」をテーマに設立されました。当初から防災や災害復興も重要と捉え、災害時における女性のニーズを調べ、提言を行ってきました。

 ところが、東日本大震災の発生で現実に直面します。避難所の運営は男性、炊き出しは女性といった性別による役割分業の意識でした。

 プライベートな空間が全くない避難所では、男女一緒の雑魚寝状態が数カ月に及びました。仕切り、更衣室、授乳室もなく、女性たちの着替えは布団の中。隣に知らない男性が寝ていても「多少は我慢しなければ」と、女性ならではの悩みを避難所運営で疲弊する男性たちに伝えにくい状況でした。

 避難所には高齢者、障害者、病人、妊産婦や赤ちゃんを抱えたお母さんもいます。短期間でも、誰もが安心して過ごせるようにするにはどうあるべきか。

 イコールネット仙台は震災後の11年9月、被災女性の経験や要望を明らかにしようと「震災と女性」に関する調査を実施しました。その結果で、特に注目したのは「女性リーダーがいなかったので、女性ならではの悩みが言えなかった」という回答でした。

 団体は13年、具体的に動きました。男性と共にリーダーシップを発揮できる人材育成を目的に「女性のための防災リーダー養成講座」を始めました。

 講座は男女共同参画の視点に立った5回連続。終了後に必ず地域で防災の取り組みを実践するという長期的なプログラムにしました。学ぶ内容は「地域防災計画を知る」「震災で深刻化するDVや児童虐待の現状」「障害の特性と対応を知る」など多岐にわたり、3年間で100人を超える女性防災リーダーを養成しました。

 巣立った彼女たちは今、ネットワークを組み、地域の仲間と自主的に活動しています。学校や児童館、町内会、大学などと連携。「みんなでつくろう!避難所設計図」「避難所のトイレ問題を考えるワークショップ」「災害食づくり講座」など、市民が関心の高いテーマを学べる講座などを企画しています。

 根っこにあるのは「震災時のあの困難を二度と繰り返してはいけない」という思いです。防災の重要性を伝えながら、新たな担い手も育てています。

 こうした取り組みが認められているからでしょう。女性リーダーたちが地域の防災会議や避難所運営の委員になったり、防災訓練の企画を任されるなどの機会が増えています。

 「困難を抱えた人たちの声を受け止めて必要な支援につなぐには、女性の視点が欠かせません」とイコールネット仙台代表理事の宗片恵美子さん。「地域に密着した女性防災リーダーが各地で育ち、女性ならではのアイデアを生かせる柔軟な仕組みづくりが重要」と強調します。

 災害と隣り合わせの現在、女性が男性と共に防災に力を発揮することが、地域を守る大きな鍵となりそうです。
(認定NPO法人杜の伝言板ゆるる 堀川晴代)