誰もが経験し得る大切な人との別れ。深い悲しみや後悔など、さまざまな感情が伴います。かけがえのない人を失った時に起こる心の反応は「グリーフ」と言い、肉体的・行動的な反応として現れることもあります。

 「グリーフは変化、喪失による自然な反応。直訳は『悲嘆』だが、いろいろな感情があっていい」。こう語るのはNPO法人仙台グリーフケア研究会代表で医師の滑川明男さんです。

 研究会は大切な人を亡くした遺族同士が思いを語り合う「わかちあいの会」を宮城、山形両県で定期的に開催しています。日常の暮らしでは語れない気持ちを自由に吐露。決して互いを評価したりアドバイスしたりせず、「安心して語れる場」を大切にしています。

 発足は2004年。仙台市立病院のスタッフらが開始しました。わかちあいの会は06年、「自死遺族」のために始まり、09年からは死因を問わず、対象を全ての遺族に広げています。

 東日本大震災後は開催場所を拡大。宮城県内では現在、仙台のほか、石巻、気仙沼各市で続けています。

 震災から9年が経過しました。震災犠牲者の遺族の参加が昨年あたりから、再びみられるようになったといいます。

 「まだ9年。つらさが続くのは当然。何年たったから終わり、ということはない」と滑川さん。時間が経過したことで「かえって悲しみが強まった」「いまさら周りに語れない」といった声も聞くそうです。

 近年は自殺者数が減少傾向にある-とも報じられていますが、日本では今も毎年2万人近くに上ります。それ以外にも病気だけでなく、誰もが災害や事故で命を落とす恐れがあります。

 死は誰にとっても身近でありながら、ネガティブに捉えられがちです。滑川さんは「喪失感に向き合うことで、得るもの、学ぶこともある」と力を込めます。

 「コミュニティーでの支え合いもグリーフケアとなる」。滑川さんが言うように、大切な人を亡くした隣人を気に掛ける。それがグリーフケアの第一歩につながるのかもしれません。
(特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター 鶴巻さやか)

◎参考情報

NPO法人仙台グリーフケア研究会
 研究会は「大切な方を亡くされた方へのこころの相談」を電話やメールで受け付けています。
電 話 070(5548)2186
    (火―金曜午前10時~午後5時)
メール griefoffice@gmail.com
住 所 〒980-0022仙台市青葉区五橋2の1の15、
    あしなが育英会仙台レインボーハウス内
ホームページ https://sendai-griefcare.jp