猫は、体調がよければ見た目から年齢を判別しにくい動物です。しかし老いは必ずやってきます。変化に気付き、ケアをする心積もりをしておきましょう。
 高齢になると、毛づくろいや爪とぎをしない、もしくは下手になり、問題が起こります。毛がもつれると蒸れて皮膚トラブルのもとになるので、コームやブラシでといてあげましょう。
 伸びた爪が巻いて自分の指に刺さるのを防ぐため、年老いてから爪切りが必要になる子もいます。寝たきりの子は床擦れに注意しましょう。クッションやマットを使用し、数時間ごとに体勢を変えてやります。
 ウエットフードしか食べない、こぼすようになった、顔を傾けてジョリジョリ音を立てて食べるなど、食べ方の変化に注意しましょう。口内炎や歯周病などの病気で起こることもあるので、症状が続くようなら治療を受けてください。
 食事面で問題の生じた子には、フードを軟らかくする、器の高さを調節するなど、与え方を工夫します。フードに見向きもしなくなるのは病気のサインです。猫は絶食状態が続くと、食欲不振の原因とは別に肝臓病を起こすことがあります。絶食が2日続いたら受診してください。
 排せつの問題は特に重要です。高齢猫は既往症がなくても便秘になりがちです。毛づくろいで胃腸内にたまった毛球が便秘を助長します。ブラッシングをまめに行いましょう。
 治療としてフードを変更したり、投薬したり、手で排せつを手伝うこともあります。一度便秘になると繰り返しやすく、硬くなった便の排せつ時には痛みも伴います。予防が肝心です。
 関節痛も多くの猫で起こります。軟骨が変形し、関節の曲げ伸ばしが困難になります。高い所に上らなくなるのは、筋力低下だけでなく、痛みを伴っているからかもしれません。
 医療技術が進み、猫が長生きできるようになったからこそ、高齢期の症状が多く見られるようになりました。家族と一緒の時間を、痛みや苦しみを我慢しながらではなく、快適に過ごせるように応援してあげたいですね。(獣医師・後藤千尋)