ヤギをペットとして飼育している人はいるけれども、ヒツジをペットとして飼育している人はほとんどいません。ヤギは、単独で飼育してもあまりストレスを感じませんが、ヒツジは本来、追従性が強く、群れをなして生活している動物で、隔離すると強いストレス状態になってしまいます。そのため、ペットとして単独飼育できる動物ではないのが一つの理由です。

 また、羊毛を定期的にカットしなければならないのも、一般の人が飼育する上ではハードルが高いでしょう。ヤギは追従性は強くなく、社会的動物なので他の動物との同居を好みます。同居動物はニワトリなどでもよいです。人とも接触したがるので、ペットとして向いているともいえます。

 日本では顔の白いコリデールという品種のヒツジが毛肉兼用種として飼われていて1970年ごろまでは、ほぼ100%この品種でした。しかし、それ以降は顔の黒いサフォークという品種が、肉用品種として日本で飼われるようになりました。

 昭和世代はヒツジは顔が白いのが当たり前だと思っていたでしょうけれど、今は顔の黒いヒツジが当たり前の時代になってきました。顔の白いヒツジの方がかわいく見えると思うのは、私世代の感覚でしかないのかもしれませんね。

 ヒツジはヤギと違い毛が密です。長い尻尾を残しておくと、ふん尿で汚染されてウジがわいたり、そこから細菌感染して命取りになったりするので、産まれて3週間以内に断尾してしまいます。

 交配はヤギ同様、自然交配が多いのですが、群れをなす性質上、放牧している場合は雌50~60頭に対し雄は1頭の割合で十分です。ヤギは雄と雌、1対1の交配をすることが多いです。

 ヤギもヒツジもウシ科であり、ウシと歯の本数も同じで、上顎に前歯は存在しません。その代わり歯茎が硬く丈夫にできていて、草をちぎって食べることができます。

 ウシとヒツジは口の構造がより似ていて、葉っぱをメインで食べますが、ヤギは葉っぱの他に小枝なども好んで食べます。

 似ているようですが、ヤギとヒツジでは、これだけ多くの違いがあるのです。しかし、どちらの動物も、私たちの生活において、とても役に立っていることに違いはありません。
(獣医師・川村康浩)