わが家のウコッケイは雄と雌がほぼ半数ずつ。頻繁に卵を産むようになったので、家族の食用以外の卵は、人工ふ化をさせてみようと思い、今まで25羽くらいのひなをかえしました。

 まず、よさそうな人工ふ化器をインターネットで調べ、とりあえず10~12個ほどの卵を温められるふ化器を一つ購入してみました。

 ふ化器は卵がふ化しやすい温度と湿度を一定に保ち、2時間おきに転卵といって、卵を転がす作業をします。最適温度は37度台といわれています。36.5度くらいにすると雌が多く産まれるという説もあります。

 ふ化器に卵を入れて6日後に検卵をします。暗い場所でライトに卵を透かして見ると、血管が見えるなど黄身の変化がわかります。

 その後、12日目、18日目にも検卵します。途中、死んでしまう卵もあるので、それは取り除きます。検卵の回数が多いほど、ふ化率が下がると言われているので、必要最低限の日数にします。

 ひながかえるのは平均21日目です。ひなは卵の内側からくちばしで殻を突いて破ろうとします。上手に破れないひなは、この時死んでしまいます。

 母鶏がいれば外側から少し突いて、ひなが外に出やすくするなどしますが、人が代わりに殻を壊すとひなが死んでしまうこともあり、手を出さないほうが無難です。

 外に出してやれたとしても、弱いひなは数日後、あるいは数週間後に死んでしまうことが少なくありません。「何でも助けることが正しいことではない」と、身に染みて感じます。

 とても寒い真冬の朝に、母鶏に任せていた卵から10羽のひながかえりました。今まで、1~2羽ずつしかかえったことがなかったのに、数の多さに驚きました。この10羽は、みんな元気に成長しました。

 こんな真冬の寒さにも1羽たりとも死ななかったのは、ひなが母鶏の腹の下に潜り込んで温めてもらえたからでしょう。ふ化器に負けない保温力のおかげだと思います。

 ダウンジャケットより暖かな素材を人間が作れないほど、動物たちの体は精巧に造られています。そのすごい素材に包まれてひなたちは守られているのだと思うと、心がどこまでも温かくなるような気持ちにさえなります。
(獣医師・川村康浩)